少女狂想
□06.『違った?』
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「あれ、団長デート?」
シャルナークが茶化すように、声をかける。
「ああ、そうだ」
思いがけないクロロの言葉に、フェイタンの意識が反応する。
「まぁ、正確には仕事なんだが、恋人の振りをしていて欲しいんだ」
当の本人は、自分で作った料理をバクバクと食べていた。
「…どういうことか?」
ざわついた気持ちがフェイタンの中を駆け巡る。
「能力を盗みたい奴がいるんだが、なかなか警戒が強くてな。
俺1人より恋人を装った方が近づきやすい。」
クロロは至って淡々と説明する。
「アタシ達でもいいと思うけど」
マチにしてみれば、能力の無いレイラは仕事の足手まといにしか思えなかった。
「パクやマチの場合、絶が完璧すぎて逆に不自然なんだ」
あれ私は?とシズクは言うが、誰も何も答えなかった。
フェイタンは黙々と食事をしているレイラに明日の事を言い聞かせる。
「レイラ、明日は団長の仕事に着いていくね」
「分かった」
内容は理解していないが、クロロと明日出掛けるということは分かったようだった。
団長がレイラを連れて行こうが、どうしようが自分には関係の無いことだ。
フェイタンは何故か、自分自身にそう確認した。