少女狂想

□05.『ありがとう』*
2ページ/5ページ

コイツ………馬鹿か……



自分が何のために、レイラをここへ連れてきたのか。

そして、いずれ売られる先では、前以上に悲惨な目に合うかもしれないのに。

安っぽい罪悪感など抱かないが、こんな言葉を自分にかけられることに嫌悪感を感じる。


「ワタシは…
お前が思うような人間じゃないね」



「フェイタン?」
フェイタンの微妙に曇った顔に、異変を感じるが、レイラにはその理由が分からない。



レイラはフェイタンの頬に触れようと手を伸ばすが、触れる寸前に手首を掴まれた。

「…痛い」
フェイタンはぐっと力を入れて手首を握っている。


自分の汚さや欲望も全部ぶちまけて、この幼い幻想を壊してしまいたくなる。

もう何も期待することが無いように。
何も希望を抱くことが無いように。

そうすれば、それ以上傷つくことが無いだろうから。


フェイタンは、レイラの手首を掴んだまま自分の体の方へ引き寄せた。

お互いの唇が触れそうになる程近くなる。


フェイタンはレイラの耳元に唇を寄せた。
「昨日の続きをするね」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ