少女狂想
□05.『ありがとう』*
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コイツ………馬鹿か……
自分が何のために、レイラをここへ連れてきたのか。
そして、いずれ売られる先では、前以上に悲惨な目に合うかもしれないのに。
安っぽい罪悪感など抱かないが、こんな言葉を自分にかけられることに嫌悪感を感じる。
「ワタシは…
お前が思うような人間じゃないね」
「フェイタン?」
フェイタンの微妙に曇った顔に、異変を感じるが、レイラにはその理由が分からない。
レイラはフェイタンの頬に触れようと手を伸ばすが、触れる寸前に手首を掴まれた。
「…痛い」
フェイタンはぐっと力を入れて手首を握っている。
自分の汚さや欲望も全部ぶちまけて、この幼い幻想を壊してしまいたくなる。
もう何も期待することが無いように。
何も希望を抱くことが無いように。
そうすれば、それ以上傷つくことが無いだろうから。
フェイタンは、レイラの手首を掴んだまま自分の体の方へ引き寄せた。
お互いの唇が触れそうになる程近くなる。
フェイタンはレイラの耳元に唇を寄せた。
「昨日の続きをするね」