初恋

□07.会えない
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1週間目:フェイタンはまだ平常心を装っていた。


2週間目:普段よりも更に無口になった。
     やたらボーッとしていた。


そして3週間目の今週。



「おい、おめー何時間やってんだよ!!」
自分の部屋のテレビとゲームをフェイタンが独占して5時間経過。
フィンクスがしびれを切らして、怒鳴ってきた。


フィンクスの怒声に、フェイタンは面倒くさそうにテレビから目線を移す。


「なかなか、ここのボスがクリア出来ないね」
フィンクスの言うことには、さほど気に止めずにカチカチとコントローラーを動かす手は止めない。


「普段は本ばっか読んでるくせにね。
ユウがいないからってさー」
ゲームの順番待ちをしていたシャルナークが痛いところを突いてくる。


「……別にそんなんじゃないね」
と、平静を装ってみても、フェイタンの気持ちを知っている2人からすれば一目瞭然。




ユウが長期任務に就いてから、早や3週間が経過した。
今までフェイタンはユウと出会ってから、こんなに長く会えなかったことは無かった。

しかも任務ははっきりいつ終わると分からないものだった。
フェイタンはユウから連絡が来るかもしれないと、いつもは部屋に放ったらかしにしている携帯を持ち歩くようになっていた。


「フェイ、そこでセーブして交代してもらうよ」
シャルナークがもう待ってられないと、強制的に交代を迫る。


チッと舌打ちしたフェイタンは渋々セーブをして、コントローラーをシャルナークに渡した。
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