初恋

□02.自覚
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一番最初に気付いたのはフィンクスだった。

あ〜あ、アイツまたユウを見てるよ。
バレバレだっつーの。


………で、話かけられたら、目も合わせられねぇってか。
重症だな。





その夜、フェイタンとフィンクスは2人で仕事だった。
なんなく仕事は終わり、成功の祝杯をあげていた。

たわいもない話も話題が尽きかけてきた頃、フィンクスはこの機会にと核心をつく言葉を吐く。

「なぁ…お前、いっつもユウのこと見てんな。
惚れてんだろ??」

どう反応を返してくるか、ニヤニヤしながらフェイタンの言葉を待った。

「……ワタシが?
ユウを見てるか??」

……ヤベェ……
コイツ無自覚かよ。

フィンクスは、フェイタンの恋愛指数の低さに、この恋の前途多難を悟った。



「じゃあ、ユウのこと、どう思ってんだよ??」
フェイタン自身がどこまで確信しているのか気になって、俺は直球で聞いた。

「……居心地イイね。
時間のあるときは一緒にいたいとも思うね」
酒の力もあってか、珍しくフェイタンは自分の気持ちを素直に言った。


そこまで分かってんなら!!
自分の気持ちは恋心だと自覚が無いのかよ……


と、もどかしさで俺は暴れたい衝動にかられる。
だけど、こういうのは周りが言っても
意味がねぇ……

自分で理解しなけりゃ、前に進めねぇな。


「なぁ、フェイお前まともに恋愛したことあんのか?」
自分は随分気恥ずかしい質問をしていると思うが、酒の席でのことだ。

「まともて、どういうのがまともね?」

ここから、説明すんのかよ……
随分面倒なことに首を突っ込んでしまったと思ったが、今更だ。


「告ったり、デートしたり、連絡取り合ったり・・体の関係持ったりてコトだろ・・」
ぁあ〜なんか言ってて俺の方が情けなくなってきたな……



フェイタンは自分を過去を振り返って唸るが
「……ないね」
と一言。



フェイタンは、少しの沈黙のあと言いづらそうに、
「……性欲を満たすだけなら、適当に女ひかけて、その日限りね」

人ごとながら俺は頭を抱えたくなってきた。
コイツ、素人童貞みたいなヤツだな…



「じゃあ、ユウと、どうなりたい?」
「…言てる意味が分からないね」

俺が言って分からせるのは、無理な気がしてきた。
コイツは、ユウが身近にいて、誰のものにもなっていない状態だから、危機感てもんがねえな。

それ以上の欲があることにも、気がつかねえし……


まぁ、なんだ。
きっかけだよな。必要なのは。
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