初恋

□03.触れる
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ユウとフェイタンは同じソファで、互いに両端を占拠しながら、読書をしていた。

本をよみながらも、時折フェイタンはユウを横目でちらりと見ていた。


こちの視線にも気づかず集中してるね・・


自分ばかりがこの状況にドキドキしているかと思うと悔しくなってくる。
けれど、そこは惚れた弱み。

手を伸ばせば簡単に触れられる距離にいる。
触れたい。
ワタシが触れたらユウはどんな反応をするか?

そっと、フェイタンが手を伸ばしかけた、その時……




バン!!!
けたたましくフェイタンの部屋の扉が開かれた。

「腕相撲やろうぜ!!!」
ウボォーの声がけたたまく部屋に響いた。


いきなりわけのわからない提案にユウとフェイタンは、完全に読書をする空気ではなくなった。

「ウボォーいきなり何!?
ビックリしたぁー・・」
ユウは驚きはしたものの、追い返す気はないようで、ウボォーの話を聞くようだ。

フェイタンは大事な時間を邪魔されて、かなりイライラしていた。
「人の部屋に入るときはノクくらいするね!!!」

「ん?あーわりぃわりぃ。
でも本なんか読むより、勝負の方が楽しいぜ!!」
全く悪びれる様子もなく答える。




「でも、なんで急に腕相撲?」
ユウが不思議そうに尋ねる。

「ユウ、お前が来てから腕相撲はやってねぇだろ?
だからお前を入れての団員の力比べをやりてぇんだよ」
勝負事が大好きなウボォーは楽しそうに話す。

どうでもいいとばかりにフェイタンは呆れ顔で
「本でも読んでた方が時間の有効活用てもんね」


ユウもさほど乗り気ではないようで
「ぇえ〜みんなと勝負すんの??
なんか嫌だなぁ…」

フェイタンはユウに断れ!と心で念じた。



ウボォーのその返答が気に入らないようだったが、すぐにニヤリと笑って告げた。
「……ユウお前自信がないんだろ?
負けるのが嫌なんだな」

ユウの性格を見抜いている。
そう言えばユウは…


「そんなことないよ!!
やってやろーじゃん!!」
とガッツポーズを決めて、俄然やる気になった。

「おしっ!!
んじゃさっそく行くぜ!みんな集まってっからな」

フェイタンは深くため息を吐き、本を閉じた。
ユウの負けず嫌いもたいがいね。。。
「……私も参加するね……」

フェイタンの参加表明に、ユウが勝負モードの顔になって
「フェイにも負けないからねー!!」
と子供のように笑う。


……別にユウと勝負なんてしたくないね……
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