水色ガールフレンド

□07.恋だった
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最初は、どちらかというとイラつく人間の部類だたね。

でもそれは──…



『これから、よろしくお願いします』
旅団にそぐわない人の良さそうな笑顔。
口には出さなかったが、団長も使えなさそうなヤツを引き入れたものだと思った。

あれからフェイタンのことは怖がりながらも、シオリは何とか話しかけようとする。
フェイタンが大して反応もしないから、会話と言えるようなものでは無かったけれど。


「今日はお疲れー!!」
景気よく缶ビールをぶつけ合い、仕事の成功を祝う。
1時間もしないうちに、アジトの広場には空き缶がゴロゴロと転がり出す。 

「男だけで仕事ってのいうのも珍しいな」
フィンクスのその言葉に、その場にいた全員が男だけだと今さら気付いた。
「そうだね、せっかくだからこんなときしか出来ない話しようよ」
シャルナークがほろ酔い顔で、面白がって提案してきた。

それからの話は、どこのバーに可愛い子がいるだの、最近女と寝たのはいつだの。
女性団員がいたら、呆れるのは間違いないような内容ばかり。
この手の話で盛り上がるのは、大抵フィンクスとシャルナーク。
段々と面倒になってきたフェイタンは、ビールを片手に本をめくり出す。

「…で?フェイタンは誰がいい?」
シャルナークが赤ら顔でせかすように聞いてきた。

「聞いてなかたね」
会話に興味を失っていたフェイタンは、本から目も話さずにそっけなく答えた。

「だから!
団員の中で彼女にするなら、誰がいいかって話だよ」
フェイタンのつまらない反応が、面白くないシャルナーク。
「…興味ないね」
何かと思えば、そんな下らない話で盛り上がっていたのかと呆れてしまう。

「俺はさー…シオリかな」
シャルナークの言葉にフェイタンの何かがピクリと反応した。

「可愛いしさ。
ちょっと気弱なんだけど、そこがまた守りたくなるような、苛めたくなるような」
頭にシオリを思い浮かべて、まるで恋人同士になったお互いを想像するかのように話し出す。

「シオリって彼氏とかいたことないらしいし、色々教えたくなるっていうか…」
何を言おうとしたのか、シャルナークは笑いながらそこで言葉を止めた。

シオリ…
その名前がシャルナークの口から出てくる度に、フェイタンの胸の中をもやもやした気持ちが走り回る。

駆け巡る気持ちの意味も分からずに、握った缶ビールがグシャっと小さく音を立てた。
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