水色ガールフレンド

□04.恋に翻弄される
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フェイタンが仕事に出てから3日目。
自分でも朝からそわそわと落ち着きがないのが分かる。

今日はフェイタンがアジトに戻ってくる日。



「やっぱり直らない…」
鏡を睨んでも変わらない。

流れに逆らって、飛び出すように跳ねた毛先。
こんな日に限って、くっきりと寝癖がついてしまった。
髪を濡らしてみたり、ドライヤーを当ててみたりと格闘しても無駄だった。

今まで生きてきた人生の中で、こんなに鏡を見るようになったことは無いと思う。

意識し始めたら、少しでもフェイタンの目に可愛らしく写りたいと思ってしまう。
私ってば本当に単純だなぁ…。


髪を直すのは諦めて、アジトの広場に向かうことにした。
タイミングが合えばフェイタンを出迎えられるかもしれない。




「あ、シオリも飲むー?」
広場について、声をかけてきたのはシズクだった。
その足元には、ビールの缶や焼酎や日本酒の瓶。それらは全て空になって無造作に転がっている。

「こんな真っ昼間から飲んでんの?」
もともとお酒をあまり飲む習慣が無かった私は、入団早々酔いつぶされた。
それからというもの、お酒を飲むのは少々身構えてしまう。

「シオリ、うまい酒を飲むのに昼も夜も関係ねぇだろ」
要は、ノブナガにとってお酒を飲む理由なんて何でもいいんだろう。

「私は遠慮しとくよ」
フェイタンがもうすぐ帰ってくるのに、お酒なんて飲んで酔っ払ってるのはなぁ…。
そう思って、その場から離れようとした。

「んだよ、シオリつれねえなー」
豪快に酒をあおりながら、ウボォーが私の首にがしりと腕を回してきた。

「ウボォー痛い痛い痛い」
加減というものを知らないのか、力強いその腕からはとても抜け出せない。

「あんな辛気臭えヤツと付き合ってたら、お前まで暗くなっちまうぞ」
そう言いながら笑うウボォーの吐く息は、かなり酒臭かった。
もう相当に飲んでいるに違いない。



「…誰が辛気臭いね」
静かだが、怒りを含んだような声が響きわたる。
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