水色ガールフレンド

□01.恋は始まった?
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恋ってこんな風に始まるものなのでしょうか?





慣れないシチュエーションに、私は緊張していた。

「フェイタンはブラックでいい?」
「別にかまわないね」
私の方を特に見るわけでもなく答える。

みんなが寝静まった深夜のアジトの広場でフェイタンと2人きり。
特に会話も無くてなんだか気まずい。







私がここへ来たのはちょうど1ヶ月前のこと。


「シオリです。
よろしくお願いします」
団長に連れられて、入団した幻影旅団。
戦闘はからっきしだが、医療系の念能力を買われた。

「僕はシャルナーク、よろしくね。
治癒系の念能力なんだって?」
「あ、はい!
病気や怪我を、それが起きる以前の状態に戻します」
「へぇ、アタシは病気なんかは治せないから助かるよ。
あ、アタシはマチ」

幻影旅団という名前に緊張していたけれど、話してみたらみんな優しそう…
ほっと胸をなでおろす。

ただ一人を除いて。



みんなと挨拶を交わしても、こちらを見もせずに隅で読書にふけっている。
それがフェイタンだった。

「これから、よろしくお願いします」
恐る恐る声をかけてみる。
彼の切れ長の目が一瞬だけ私を映した。

「……フェイタンね」
そう一言だけ言葉を発すると、また彼の目は本へと戻っていった。


ポンと肩をたたかれた。
「ああいうヤツだから気にするな」
優しく声をかけてくれたのはフランクリン。

フェイタンってちょっと苦手かも…
それが彼への第一印象だった。
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