少女狂想
□12.『すれ違い』
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その日フェイタンは、自分の苛立った感情を持て余して夜の闇へと静かに消えた。
その顔は幻影旅団と言うにふさわしい、暗く冷たい目をして。
誰でもいいね…
この処理しきれない感情のはけ口探していた。
街中までやってくると、すれ違いざまに一人の男の首を飛ばした。
すぐさま巻き起こる群集の悲鳴。
つまらない…
フェイタンは自分の念能力を使わずに、暴れた。
それでも自分が触れたものは、簡単に息絶える。
その中でいくつかの傷がフェイタンの体に出来た。
それを見ると、妙な満足感がフェイタンの中に生まれる。
結局…
自分に一番イラついてただけか…
何もしなかった自分
何も言わなかった自分
体に傷がついたことで、楽になったような気がしている。
バカバカしい。
いつもなら暴れると、爽快感を感じていた。
なのに今日は、暴れるほど虚しさが増していく。