少女狂想
□04.『楽しい』
1ページ/3ページ
ヨークシンに出かけていたフェイタンとレイラ。
気がつけば、太陽は頭上高くで燦々と輝いていた。
「いい匂いがする」
空腹を覚えて昼食でも取ろうとしたところ、レイラは匂いのする方へ行きたがった。
「お前こんなもの食べたいのか」
目の前には、大手ハンバーガーチェーンの看板。
中からは確かにポテトの美味しそうな香りが漂ってくる。
あんな大富豪の主人に飼われていたのだから、さんざん美味い物は食べてきていたハズ。
逆にこんなものが物珍しいのだろうと、ここで昼食を取ることにした。
レイラはポテトをかなり気に入ったようで、小さく微笑みながら、ほとんど一人で平らげた。
だがハンバーガーにはなかなか苦戦していた。
「馬鹿か!包みは取らないで食べるね!!」
「手…ベタベタする」
一気に包みを剥がしてしまったレイラの手には、ボトボトとソースやマヨネーズが垂れてしまっていた。
フェイタンがそれをナプキンで拭おうとするが、レイラは楽しいようで動いて上手く出来ない。
「じとしてるね!」
ぐいぐいと手を拭ってやりながら、なんだか今日は大声を出してばかりねとフェイタンは思った。