少女狂想
□03.『欲しい』
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薄明かりが差し込める午前6時過ぎ。
目障りな光がレイラを眠りから覚醒させた。
肩にかかる重みを感じて、体をよじる。
まだ眠っているフェイタンの腕を、自分の体からゆっくりと剥がして、ベッドからそっと抜け出した。
喉の渇きを覚えたレイラは昨日いた広場になら何かあるだろうと、部屋を後にした。
「……ん…レイラ…?」
フェイタンはゆっくりと寝返りをうった。
広場についたレイラは難なく冷蔵庫にある水にありついた。
ゴクゴクと喉を潤していると、背後から物音がした。
「ちょっと!!アンタ何やってんのさ」
マチが慌ててレイラの肩を掴んだ。
昨日風呂に案内してもらって、マチのことは覚えていた。
「おはようマチ…これ飲んじゃいけなかった?」
レイラにはマチがなぜ慌てているのか分からない。
「いいからアタシの部屋に来な!!」
そう言って、マチはぐいぐいとレイラを部屋まで引っ張っていった。
「アイツどこ行たか!?」
目を覚ましたフェイタンは、彼らしくなく慌てていた。
起きてみればベットはもぬけの殻。
まさか逃げたか!?
その考えがフェイタンの頭をよぎって、大急ぎで服を着替えて部屋から飛び出した。
あれ程の貴重な宝を逃がしたとなれば、クロロだって黙ってはいないだろう。
そして何より、あの無垢な態度は演技で、逃げ出す腹積もりだったというのか。
チッと眉間に深くシワを寄せて舌打ちし、アジトの中を探し回った。