水色ガールフレンド
□02.恋が知れ渡った
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団長とフィンクスにも知られていることに頭を悩ませながらも、乾いた喉を潤すために広場の冷蔵庫へと手を伸ばした。
「僕にもその水取ってくれない?」
「あ、シャルおはよう」
その声にホッとする。
旅団に入ってからは、シャルは私にとってよきお兄さんという存在。
優しくて、話しやすい。きっと普通の女の子はシャルみたいな人を彼氏にしたいのだろうと思う。
「シオリがフェイタンとなんて意外だったなぁ。
もし泣かされたりしたら、俺がフェイタンを叱ってやるよ!」
いつもの優しいお兄さんスマイルをしながら、シャルが言った。
「……なんで知って」
「え?朝フェイタンに聞いたけど」
「……だよね」
もう苦笑いしか出てこなかった。
これは、まさかまさか。
私は広場を後にして、早足で歩く。
向かう先はもちろんフェイタンの部屋。
途中すれ違ったシズクにも
「シオリも物好きだね」
なんて声をかけられた。
まさかじゃなくて、これは絶対だ。
もうメンバー全員にフェイタンと私のことが知れ渡っている。
私の歩くスピードはどんどんと早さを増していく。
そんなに広くないアジトの中で、フェイタンの
部屋の前へと到着した。
ふうと一度息を吐いてノックをするが、応答はない。外に出てしまったのかな。
何度かノックしても返事が無いので、諦めて自分の部屋に戻ってきた。
「フェイタン!」
私の部屋の前には、私が探していた人物が扉にもたれかかり、腕組みをして立っていた。
フェイタンは、私の声にジロリと目線だけをこちらに動かしてきた。
どう見ても機嫌がいいようには見えない。
…怖い。でもここで怖気づいちゃダメだ。
「探したね」
マスクの中で、くぐもったフェイタンの声が響く。
ああ、そうか。お互い探していて行き違いになってたんだ。
「私もフェイタン探してたんだよ」
私がそう伝えると、一瞬フェイタンの表情が緩んだ気がした。
「そか…。
シオリもワタシ探してたか」
あれ?私の気のせいじゃなかったら、なんだかフェイタンが少しだけ嬉しそうに見える。
今から、フェイタンに伝えようとすることを考えると胸がチクリと痛んだ。