鬼灯の冷徹 夢小説文
□上司の為のアイテム集め
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一方の鬼灯は、拷問部屋でグツグツと鍋を煮込んでいた。
その側には非番のシロ・柿助・ルリオがおり、手伝いをしながら鬼灯を眺める。
「簡法を熟知していると、上司に大人気ですよ」
「え、下卑たやり方だなぁ…」
すり鉢を抱えその中身を掻き混ぜながら、コテンと首を傾げ言う鬼灯にシロが眉を下げた。
「いえ、そもそも仕事は“自分で近道を見つける”のが基本ですからね…マニュアルだけでは会得しにくいコツ・整理法を見つければ功科に繋がります…」
鬼灯が混ぜていた手を止め、説明を加えた所で、入り口のドアが開いた。
『鬼灯様、持ってきましたよ?』
「シオンちゃん!!」
同時に響く優しくも明るい声に、シロの尻尾がユラユラと動く。
『あら?みんなも来てたんだ?』
「非番だそうなので、手伝ってもらっていました。…ところで、メモの物はありましたか?」
入り口の境に立つシオンに歩み寄りながら聞く鬼灯。
『はい!!あ、メモの一番下に書いてたあれ…一応持って来たんですけど…鍋の材料なんですか?』
元気な返事を返した後、部屋の中央の鍋に目を向け言ったシオン。
「えぇ、鍋に使うのです…ちゃんと持ってこれましたか…」
それでどこに?と辺りを見回す鬼灯に、シオンは入り口の外にあった右手を中へ入れた。
『…ここに…』
その手に掴まれていた亡者は、ズルズルと引き摺られながら、鬼灯の目の前に置かれた。
「ありがとうございます。それではシロさん、コイツを斬って煮てください」
「ワン!」
シオンからヒィーと叫ぶ亡者を受け取った鬼灯は、そのまま血に塗れた台に前足を乗せスタンバイしていたシロに渡す。
「「(…あぁ…この人、鬼灯様の秘書みたいなもんだしな…)」」
そんな様子を黙って見ていた柿助とルリオが、一人で亡者を連れて来たシオンに視線を向けしみじみ思う。
『それでは、私はこれで失礼します…約束があるので…』
「えぇ、助かりました。ありがとうございます」
亡者を引き渡し終えたシオンは鬼灯に軽く頭を下げ、3匹にも手を振り、小屋を後にした。