鬼灯の冷徹 夢小説文
□鬼神と神獣の確執
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図書室に入ったシオンは、そのまま隣の準備室…更にその奥の保管庫へと足を進める。
『えっと、この巻物は…内容的にこの上か…』
葉鶏頭から預かった巻物を仕舞いつつ、違う場所に入っている巻物を元の場所へと戻していく。
『あの上の巻物…仕舞う場所が違う…。………あ、届かない…かも…』
…シオンが巻物の整理をしていると、ガチャリと保管庫のドアが開いた。
しかし、巻物を取ろうと懸命に手を伸ばすシオンは、それに気付かない。
そんな時、シオンの後ろから、ヒョイと伸びて来た長い腕…
その手はシオンが取ろうとしていた巻物を掴むと、ゆっくりとした動作で、彼女の目の前に差し出した。
「はい、取ろうとしていたのは、これで合ってますか?」
『…え…?ほ、鬼灯様ッ!?あ、ありがとうございます』
シオンは意外な訪問に驚きながらも、お礼を言い鬼灯から巻物を受け取る。
『どうしてここに?…というか、いつから…?』
「シオンが届かないことを自覚した辺りからです…」
『全然、気付かなかった…』
「本当はシオンが背伸びして必死に腕を伸ばす姿を、もっと見ていたかったのですが…」
『うぅ〜…//』
鬼灯の言葉に顔を真っ赤にし、押し黙るシオン。
「…もう、鬼灯君ってば、置いてかないでよぉ…」
「急に走り出して、どうしたんですか?」
「シオンがここに入っていくのが見えたので…」
そんなとこへ入って来た閻魔と桃太郎に鬼灯が答える。
「あれ?シオンちゃんじゃない!」
「何でここに?」
『あ、えっと、図書室の管理も私の仕事だから、保管庫の整理を……桃太郎くん達こそ、どうしてここに?』
桃太郎の問いに答えたシオンは同じ質問を返した。
「あぁ、俺達は調べものをしに来たんだ」
「シオンちゃんがいるならちょうどいいや。千年前の和漢親善大会の記録が見たいんだ!!」
『それなら、こっちです…今、持ってきますね』
迷いなく進み、大会記録が置いてある棚の前で止まり、あ…と振り返る。
『大会記録の何が見たいんですか?』
「あぁ、大会スタッフの名簿です」
『じゃあ、これですね…』
鬼灯が答えると、シオンは三本の巻物を手にし戻って来た。
鬼灯が巻物を眺めている数十分の間にシオンは、事の次第を聞いていた。
『…ところで、何で大会名簿なんて?』
「あぁ、それが…――」
…事の発端は、桃太郎の鬼灯と白澤に対する似ている発言。
それに機嫌を悪くした鬼灯…顔を青くする桃太郎に閻魔がその理由を語った。
和漢親善大会の審判をしていた鬼灯と白澤は些細なことから、とある賭けをした。
通路から出てくる女性の胸囲が二尺八寸以上か以下か、と言う実に下らないもの。
しかし、出て来た人物は、女性とも男性とも見て取れる容姿をしており…
二人はそれを切っ掛けに大喧嘩し、未だに仲が悪い。
桃太郎の提案で、賭けの人物の性別を調べるべく、記録を見に来たとい言うのだ。
「…あ、この人ですね」
巻物に目を落としていた鬼灯が、一つの顔写真を指差し呟く。
『えーっと…名前はシノブさん。所属は黒縄地獄の獄卒ですね…』
「では、行きますか…」