鬼灯の冷徹 夢小説文
□結婚談義
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鬼灯とシオンは視察のため、等活地獄を訪れていた。
「ここも異常は無さそうですね…」
戻りましょうと続けるべく鬼灯が口を開くのと、非常警報が鳴ったのは、ほぼ同時だった。
ウーウーと鳴り響く警報に、鬼灯は目を鋭くさせ、コテンと首を傾げる。
「ありましたね、異常…」
『そうですね…どうしましょうか?』
「詳しい状況が分からない事には、指示の出しようがあり「鬼灯様ー!!」…」
鬼灯は言葉の最中、走って来た獄卒の説明で大まかな状況を理解する。
どうやら、茄子の持ち込んだワンセグから悪霊サダコが逃げ出したらしい…
それを聞いた鬼灯は愛用の金棒を茄子の頬に容赦なく叩き付けた。
加えて説教を浴びせた後、鬼灯はてきぱきと指示を出していく…その横では…
『茄子くん。完璧な人なんていないから、ミスするななんて言わない。でも失敗したら、それを糧に次へ活かさなきゃね。大事なのは、今、悔いることじゃなくて、失敗の後の行動。失敗は働きでカバー。茄子くんは、それが出来る子だよね?』
シオンが落ち込んでいる茄子の頭に手を乗せ、優しく声を掛ける。
「出来ます!!」
『よし、それじゃ…』
茄子の元気な返事を聞いたシオンは鬼灯に向き直る。
『鬼灯様。私は閻魔殿の倉庫から、ブルーレイ内臓52型テレビを持って来ます!!』
「えぇ、お願いします」
鬼灯は茄子に声を掛けながらも、自分の指示を聞いていたシオンに内心驚いていた。
『茄子くん、運ぶのを手伝って!!』
「はい!!」
――数分後、シオンと茄子が運んで来たテレビの前に、幾人もの獄卒が待ち構えていれば、その画面からサダコが出て来た。
まんまと嵌められたサダコは腹いせにと鬼灯へ飛び掛かる。
「鬼灯様!危ない!!」
「い゛ッ!!?」
獄卒の一人が叫ぶのと同時に、奇声を発し動きを止めたのはサダコだ。
「え…ちょっ…!?」
「シオン様!?何して…」
驚きの声を上げる獄卒達。
その視線の先には、サダコの後ろ髪を引っ掴むシオンの姿。
「おのれ小娘!!何を…!!!」
怒ったサダコがシオンに振り返ろうと身を捩らせた瞬間…。
―ゴッ!!
もうスピードで突進してきた、凄い形相のシロがサダコに襲い掛かり、この騒動は幕を閉じた。