ONEPEACE 夢小説文
□逃げるが勝ち
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恥ずかしさのあまり…とは言え、言われるが儘に頷いてしまった私は現在…
「こちらのお席にどうぞ!!」
ローに連れられ、表通りにあるカフェに来ていた。
女性店員さんに案内されたテラス席…戸惑いながら腰掛けた私とは正反対に、余裕綽々で席に着き足を組むロー。
…けど、私の内心はそれどころではない…。
ここはテラス…通りを歩く人から丸見えだ。
しかも、そろりと周りを見渡せば、いるのはカップルばかりで…これじゃ、まるで…
「デートみたいだな」
『へっ…!?』
ローの口から出た言葉にカァっと顔が赤くなるのが自分でも分かった…
間抜けた声を上げた私に、ニヤリと笑うロー。
「お待たせしました!!」
そんな時、いつの間にか注文されていた飲み物が運ばれて来て、私は言い返そうと開きかけた口を閉じた。
何事も無かったかのようにブラックコーヒーを手に取り飲むロー…
内心、溜め息を吐き、私も目の前のココアに口を付けた。
『…それで、何の用ですか?』
「は?」
何を企んでいるのか探りを入れれば、何言ってんだと言わんばかりの視線を投げてよこす。
『何か用があって、ここに来たんじゃ…』
「用なんてねェ…一緒にいたいと思っただけだ」
それより…と続けられた言葉に、私はココアに向いていた視線をローに戻した。
「敬語を使うなと言ったハズだが…?」
『…あ、あれは成り行きで…頷いてしまっただけでして…』
「うるせェ…」
言い訳をする私に、バッサリと吐き捨てる。
押し黙る私に、椅子に凭れ掛かっていたローは、その身を起こし…テーブルに肘を付けた。
「なぁ…ミシェル」
『…何?』
「おれの船に乗れよ」
…まだ言ってる…。
『だから…』
「答えはイエスしか、認めねェ…」
…この男、本当に人の話を聞かないな…まぁ、海賊だから、そんなもんか…。
『…ローは…何で海に出たの?』
私は、小さな溜め息を吐き、話題を変えた。
「あ?何だ、急に…」
『私はさ…故郷に帰れなくて、旅をしてるんだ…』
「…どういう」
『何てね?嘘。私は海賊はやらない…海軍に追い回されるのは御免だから…』
言い掛けたローをおどけるように遮り…適当に話を切って、私はココア代をテーブルに置き、席を立つ。
『それじゃ…私はお店に戻るから。私を海賊にするのは諦めてね』
…これで諦めるだろうと、高を括り、私は店を出る。
呼び止めるローの声が聞こえたけど、振り返ることはしなかった。