ONEPEACE 夢小説文
□濡れた瞳
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「…キャプテン!!起きてよ!!」
船へ戻ってすぐ、おれは眠った…しかし、久し振りの熟睡を妨げたのは、ベポだった…
覚醒しきらないまま、ベポを睨み付けるが…
「港に海軍来てるんだ!!」
「…!!今行く…」
その一言で一気に目が覚め、帽子を引っ掴み甲板へ出た。
「おはようございます、船長…」
「状況は?」
「…港に軍艦が1隻停泊中…海兵も数名、港に降りていますが、見たところ物資の補給でしょう…上陸の可能性は低いかと…」
「そうか…」
「今はシャチが見張っています…」
ミシェルの言っていたことは本当だったようだ…
もし何も知らず、あのまま港にいたら…今頃、面倒なことになっていただろう…
「キャプテン、キャプテン!!ミシェルは嘘ついてなかったでしょ?」
おれの後ろで満面の笑みを浮かべるベポにそうだなと頷けば、また満足気に笑った。
「…賞金首の引き取りと物資の積み込み…あとは、次の島まで行きたいって奴等を乗せて、出港したッス!!」
シャチが戻って来たのは昼前だった…一通りの報告を受け、海軍が去ったことを知る。
「ご苦労だったな…」
労いの言葉を掛け、おれはベポに寄り掛かっていた状態から立ち上がる。
「出掛けるんスか?」
「面倒は去ったみてェだしな…飲みに行くぞ…」
着いて来いと促し、ペンギン、シャチ、ベポで昨日の酒場へと向かった。
幾つもの細い路地を曲がった先にある、この酒場…
入り口には“CLOSE”の文字…だが、窓から中を覗けば…カウンターに座るミシェルとカウンターの中に立つ店主が見えた。
何気無しにドアを開け、中に入り…目の前の光景に目を見張る。
「…どういう状況だ?」
シャチが首を傾げる。
「あ!!店長がミシェル泣かせてる!!」
ベポの言う通り、ミシェルが泣いている…
「違うんじゃないか?」
冷静に状況を把握しようとするペンギン…
「…………………!!」
茫然とこちらを見上げるミシェル…その細く長い髪から覗く耳…おれにとっては、それは古い書物や資料でしか見たことの無いもので…。
ミシェルに歩み寄り、徐に普通よりも尖ったそれに触れた。
「…お前…」
『…ぇ…』
突然のことにキョトンとするミシェルだが、段々と目を見開き、次の瞬間には…
『あッ!?…うそ…』
椅子を倒すほどの勢いで立ち、動揺しているのは明らかだ…
しかし、小刻みに震える小さな身体からは、それに似つかわしくないほどの膨大な殺気が溢れ出ている…
現におれの後ろに佇むベポ、シャチ、ペンギンの額には冷や汗が滲んでいる。
…おれだって長く浴びるのはキツイ…
そう思っていた矢先、店主に抱き留められ正気を取り戻したミシェルは、諦めたような視線をこちらに向けていた。