ONEPEACE 夢小説文

□腹の探り合い
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先程、海賊を倒したこのミシェルと言う女…こりァ一般人じゃねェな…。

そんなミシェルは今、再びおれの隣に座り、店主から褒美にと貰ったアイスを頬張っている。

頬を緩ませ幸せそうにするこいつに、さっきのような雰囲気はまるで見て取れない。

あの殺気にも似た鋭い目は例えるなら、獲物を仕留める猛獣…

そして、あの身のこなしは戦い慣れした者のそれに近い…。

極めつけはリーダーの男への攻撃…いったい何をしたんだ?

掌で腹を突いたにしては、衝撃も無く突然倒れた…しかも、吐血して…。

…もしかして、悪魔の実の能力者なのか?


「なァ…お前、アイツに何したんだ?」


おれは店の柱に縄で縛り付けられている海賊達に目を遣り、ミシェルに問う。


『何って…蹴り倒したり、斬り伏せたり…見てましたよね?』

「あぁ、見てた。…だが、おれが言ってるのは最後のだ」

『…あー…あれですか…。内緒です』


少し考える素振りを見せるも、言うつもりはないようだ…。


「お前、悪魔の実の能力者か?」


そんなこと気にせず、おれは質問を続ける。


『…私はそんなもの食べてませんよ』

「…私“は”?」


ミシェルの返しに小さな疑問を抱き、反復した。

そして、おれは次の瞬間、驚くこととなる。


『えぇ、私は食べてないけど…船長さんは食べてるでしょ?』

「!!」


僅かに目を見開くおれのを見て、図星だと笑うミシェル。

何故だ?どうして俺が能力者だと分かったんだ?

ただ単に、鎌をかけただけか?…にしては確定があるような物言いだった。


「…まァな…何故分かった?」


おれは内心の焦りを悟られないよう、冷静に言う…

変に嘘はつかず、ここは素直に認めるべきだろう…理由を聞くためにも…

しかし、返って来た答えは…


『内緒です』


この一言…どうやらガードは堅いらしい。


『何か飲みますか?』


話を変えるようにそう言ったミシェル。

だが、時計を見れば、既に日にちは変わっていた。


「いや、いい。今日はもう船に戻る。ウチのクルーが一人潰れてるしな…」


おれの視線の先にはペンギンに絡むシャチの姿。


『今日“は”?』

「あぁ、また来る…」


おれはそう言い、居眠りしていたベポの名を呼ぶ。


「アイアイ、キャプテン…。あ、オレ寝ちゃってた…帰るの?」

「あぁ、ベポ、お前はシャチを運べ…」


店主にもまた来ることを伝え、カウンターに札束を置き、店を出た。


「キャプテン、何か楽しそうだね!!何かあったのかな?」

「さぁな…従業員の女と何か話しているようだったが…」

「え、ミシェルと?」

「あぁ…つかあの女、やたらと強かったな…」


船への帰り道、ベポとペンギンがそんな会話をしていたのをおれは知らない。

おれの頭ん中は、ミシェルへの疑問で埋め尽くされていた。





 
 

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