ONEPEACE 夢小説文

□実は用心棒
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おれ達が店で飲み始めてから1時間程が経った頃…一般の客もやって来た。


「また来たぜー!!ミシェル、いつもの!!」

『オッケー!!』

「ミシェルもこっち来て飲めよー!!」

『手が空いたらね!!』

「ミシェルー!!」

『はいはい!!』


と言っても、その殆どが常連客のようで、親しげに話すミシェルの声が店に響く。


「随分と人気があるんだな…」

「あぁ、言ったろ?看板娘だって!!」


おれの呟きに店主が答えた。


「最初はあんなんじゃなかったんだぜ…」

「…と言うと?」

「他人は敵って感じだったな…目に映る全てに警戒し牙を向ける…」


とても、そうは見えねェな…ますます興味深い奴だ…

殺気に動じず、軽口を叩いたかと思えば、男に頭撫でられて赤面する…一々反応が面白ェ…。


「それが本当なら…随分と丸くなったもんだ」

『勝手に人の過去をほじくらないで下さい…』

「なら、自分から話すか?」


店主と会話を進めていると、トレイに酒を乗せたミシェルが立っていた。

おれの言葉に何で私が…と眉を顰め、酒を運びに行ってしまった。


更に時間が経ち、忙しさのピークを終えたミシェルはベポの横に座り、ジュースを飲んでいた。


「お前、酒飲めねェのか?」

『別に飲めますよ?…あ、ジュース飲んでるからですか?』


ミシェルの横に移動し、小馬鹿にするように聞けば、何食わぬ顔で答えやがった。

『一応、仕事中ですから…』

「でもあの人は普通に飲んでるよ?」

『トトさんは飲んでもいいよ。私は只の従業員じゃないから…』

「それって、どういう…」


ベポに笑いかけるミシェル…

そんなミシェルの言葉に更に質問を重ねようとしたところで、それは起こった。


バキッ…!!


豪快な音を立てて、入り口のドアが中へ吹っ飛んで来た。

次いで入ってくるのは、ドアを蹴破ったであろう足と、その持ち主の男。

騒がしかった店内が、一気に静けさを取り戻す。


「何ボーっとしてんだよ!!俺達ゃ客だぞ!!」

「酒持って来い、酒!!」


ぞろぞろと入ってくる男達…15人ってとこか…

リーダー格が声を荒げれば、それに続けて騒ぎ出す部下達…。
部下の一人が店内へと進み、ミシェルの前で立ち止まると、舐め回すような視線でミシェルを品定めする。


「おう、姉ちゃんイイ女じゃねーか…酌でもしてくれよ…!!」

『…酌くらいならいいけど…その前に…』


ミシェルはそんな男の言葉に無表情で口を開くと、何かをねだるように右手の平を差し出した。


『ドアの修理代、頂けます?』


何の躊躇いもなく言い放った。

普通の女はこんな状況でそんな言葉は出ないだろう…本当に面白い女だ…。

相手の男は額に青筋を浮かべている…まぁ、そうなるだろうよ…。


「てめぇ、ふざけてんのか!?俺達を知らねぇわけじゃあるまい?」

「俺達の船長は530万ベリーの賞金首、黒ネズミのハーベット様だぞ!!」

「そういう事だ、姉ちゃん…!!」


部下の言葉に気を良くしたリーダー格がミシェルに視線を向ける…

しかし、ミシェルの次の言葉で、相手の男達は凍り付く。


『530万ベリーの?そんな小物、知りません!!』


そんなことなど気にせず、ミシェルは目を瞑り少し考える素振りを見せた。


『でも、そうですね…なら、修理代は貴方の首でいいですよ?』

「いいぞーミシェル!!」

「ミシェルが暴れるぞー!!」


530万でも修理代くらいなら釣りが来る…ミシェルがリーダー格に目を向けそう呟くと、今まで静まり返っていた常連客達が歓声を上げる。

それと同時に、テーブルで飲んでいた客達が、自分等の使っていた椅子やテーブルを店の隅に寄せ始めた。

何だ何だと辺りを見回すシャチやベポ、ペンギンを尻目におれは店主に尋ねる。


「おい、あの女…何する気だ?」

「お前さん達、運がいいなァ…滅多に見れるもんじゃねェぞ…」


そう言いながら、カウンターに置いてある、酒瓶を下に仕舞っていく店主は続ける。


「ミシェルはなァ、ああ見えて…その辺の荒くれ者なら、簡単に倒しちまう…」


ウチの用心棒さ!!と胸を張る店主に、おれ達の視線は店の中心へと向けられた。





 
 

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