ONEPEACE 夢小説文
□酒場の看板娘
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店のエプロンを付け、耳を隠すためにバンダナを手に取る。
トトさんの話し声が聞こえるってことは、もうお客さんが来たんだ…
早く手伝わなきゃと思い、私はバンダナを巻きながら階段を降りた。
トトさんの横に並び、軽く頭を下げれば、聞いたことのある声に名前を呼ばれた…。
視線を向ければ、昼間に会ったシロクマちゃん…ベポがいた。
私は嬉しさのあまり、カウンターを出てベポに抱き付いた。
ベポの他に、キャスケット帽にサングラスの男、PENGUINと書かれた防寒帽を被った男…ブチ模様の帽子を被った男。
そして、私は衝撃を受けたのだ…一緒にいた人間がベポの仲間だということに。
『…か…可愛くない!!!』
思わず叫べば、何言ってんだコイツとでも言うように3人からの視線を受けた。
シャチもペンギンもキャプテンとやらも、普通に人間だった。
「何だ、ミシェル。お前…知り合いか?」
『あ、うん。昼間に港でね…』
トトさんの問いに正常心を取り戻し、苦笑いで答える。
「お前がミシェルか…」
『えと、はい…』
そんなとこへ耳に届いた低い声。
ベポに向いていた体を反転させればベポの言うキャプテン…もといこのハートの海賊団の船長さんが私の後ろに立っていた。
聞きたいことがあると言われて、首を傾げれば…
「…明日、海軍が来るってェのは本当か?」
鋭い視線と共に僅かに飛ばされた殺気…。
…そんなの別に気にしないけどね…素知らぬ顔で返してやる。
『本当ですよ?』
「なら、何故それをベポに教えた?入り江のことも…。見ず知らずの…ましてや海賊に…」
あぁ、成程…この船長さんは私の言っていることと、行動が信用できないんだ…。
『ん〜…ベポが優しかったから…そのお礼です』
「…そうか…正直おれはお前が信用できねェ…」
『別に船長さんの信用なんていりません…』
思ったことを言えば、あ?と顔を顰められた…だって本当だもん!!
他人の信用なんて…私には必要ない…
私と船長さんの会話を聞いていた、お仲間さん達は顔を青くしている。
「…クク…お前…面白れェな」
怒ってると思いきや…突如、笑い出した船長さんにギョッとした私は、思わず一歩後退る。
「キャプテン…?」
「船長…どうしたんスか…」
「………」
私だけじゃない…彼の仲間だって、驚いてるじゃないか…。
「おれの殺気にも動じず、思ったこと素直に言いやがって…」
俯きながらそう呟くと、口角を上げ、徐に右手を上げた。
「気に入った…」
その右手は私の頭に置かれ、乱暴に掻き回される。
『な、何するんですか…//!!?』
び、ビックリした…驚きのあまり飛び退いてしまった。
…船長さんはと言うと、私のそんな反応にニヤリと顔を歪めている。
「…おいおい、あんまウチの看板娘を虐めねェでくれ」
「悪ィな…面白くてつい…」
船長さんはトトさんにそう返すと、グイとお酒を喉に流し込んだ。
…その後はベポとトトさんが間に入ってくれたこともあり、それなりに打ち解けた。
『…そちらのお二人は何飲みますか?』
シャチさんとペンギンさんに聞けば、二人ともウイスキーでいいとのこと。
ベポには肉を中心とした料理を出しておく。
船長さんはこの店オリジナルのお酒がお気に召したようで、そればかりを飲んでいた。