ONEPEACE 夢小説文

□怪しい客人
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港へと着き、自らの船を見上げれば、出た時よりも静かだ。

地を蹴り船の上へと行けば、前の甲板にクルーの姿はない。

刀を担ぎ直しながら、後ろの甲板へ行けば、床に空のティーカップが2つ置いてあった。


「あ、キャプテン!!帰ってたんだね、おかえり!!」

「あぁ、ベポ。お前だけか?」


後ろから声を掛けられ振り返れば、トレイを持ったベポが歩み寄って来た。


「うん…シャチとペンギンはコックと一緒に買い出しに行ったよ!!」

「そうか…なら…」


シャチとペンギンはいない…となると、


「…これは何だ?」


床に置かれたティーカップに視線を向け問えば、おれの視線を辿ったベポの顔に笑みが浮かぶ。


「オレね、ミシェルと友達になったんだよ!!」

「そりァ、どこのどいつだ?」


俺の質問に答えになっていない答えを返すベポ…まぁそれは仕方ない…ベポはそういう奴だ…

話を聞きゃ、そのミシェルとやらはハートの海賊団と言う名に惹かれ、興味本位で港に来た一般人らしい。

…船を見上げていた女に、どっちがハートの海賊団の船かと聞かれたベポは女を船に招き、紅茶を淹れた…

それが、この2つのティーカップか…。

…つか、一般人を船に上げたのかコイツは…。


「ハァ…ったく、何考えてやがる…!!一般人を船に上げるなんて…」

「でも、悪い子じゃないよ!!」


咎めるおれに慌てて女を庇うベポ…よっぽどそいつが気に入ったんだろうが…珍しいな。

こいつが仲間以外の他人にここまで懐くなんて…。


「あ!!そうだ、キャプテン!!」

「…今度は何だ?」


突然、思い出したように声を上げたベポに、思わず眉を顰める。


「明日、海軍の定期便が来る日なんだって!!今日のうちに船の場所を変えないと!!」

「ほぅ…何故、明日だと分かった?」

「ミシェルが教えてくれたんだ…」


怪しいな…今日会ったばかりの、見ず知らずの海賊にそんな情報を教えるだろうか?

いや、仮にそれが本当だとしてもだ…この島に船を付けられそうな場所なんてあったか?

…答えは否。

…俺はそんな場所を知らねェ…恐らくベポも…

かと言って、海軍がいなくなるまで、島を離れていたら、ログが書き換えられる可能性がある。


「あの、キャプテン…」


考え込むおれに恐る恐ると言った感じで声を掛けてくるベポに、何だと短く返す。


「島沿いに南西に2km進んだ辺りに、島の住民しか知らない入り江があるって……ミシェルが…」


ベポの返答に内心驚く。

何なんだ…そのミシェルと言う女…。

何故、そんな事を…ここまで親切だと、逆に興味が湧くな…。


「…そうか…正直、おれはそいつに会ったわけじゃねェから、いまいち信用できねェ…だが、海軍と鉢合わせってーのも面倒だ…取り敢えずは信じることにして、クルー全員が戻り次第、船を移動させる…」

「アイアイ!!」


ベポはおれの信じると言う言葉に嬉しそうに笑い、元気な返事をした。


「…それと、船の移動が終わったら出掛けるぞ…いい酒場を見つけた」


そう言い自室へと足を進めるおれの後ろでは、ベポがティーカップの片付けを始めた。






 
 

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