ONEPEACE 夢小説文

□船長の暇潰し
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――グランドラインのとある春島…名をソーカ島。

おれ達ハートの海賊団が、3日前に上陸した島だ。

グランドラインにしては珍しく、安定した気候を保つ小さな島で…

1つしかない町は人も多く、活気に満ちている。

海軍の駐屯所も無く…1週間に1回、海軍の定期便が来るが上陸はしない…と言うよりしたくないらしい。

海賊であるおれ達にとっては実に都合のいい島である。

だが、少々変わった島でもある…それは、この島 独特のイベント。


「あ、オレあの顔知ってる!!」

「あーっと、何だっけ…!!」

「530万ベリーの賞金首、黒ネズミのハーベット…」

「「それだ!!」」


ベポとシャチが指差す先にいるのは、ペンギンが言った通りの賞金首の顔…に似た顔。

つまりは偽者な訳だが…これこそがイベントであり、海軍が上陸したがらない理由。

この島では、1年中そこらかしこで仮装が行われている。

仮装のモデルは、着ぐるみの様な物から、賞金首まで様々…

賞金首を真似た顔がうようよしているこの島でいくら海軍が、逮捕だ何だと騒いだ所で、本物である確率など無いに等しい。

もし誤って民間人を逮捕しようものなら、海軍の信頼も下がりかねない…結局は海軍も関わりたくないのだ。

ログが溜まるまで2週間…4日目を迎えたおれ達は、暇を持て余していた。

船の甲板から港を見下ろし、楽しそうに声を上げるベポとシャチを尻目に、おれは長刀を肩に担ぎ、そこから飛び降りた。


「キャプテーン!!どこ行くの?」

「散歩だ…」


港の無機質な地面に着地した所で、上から降ってくるベポの声。

短く返せば、ベポは満足そうに笑い、いってらっしゃーい!!と何とも間延びした声でぶんぶんと手を振っていた。








歩いて数分で町に着いた。

それから更に数分歩いた所で、おれは足を止めた…正確には止められた。


「トラファルガー・ローだな?」


海軍はいないが、賞金稼ぎはいるらしいな…


「おれが仮装をしているだけの一般人だとは考えねェのか?」

「港でお前の船を見たぜ?」


長刀を担ぎ直しながら言えば、得意げな笑みを浮かべる目の前の賞金稼ぎ。

行く手を塞がれ、既に後ろも囲まれている…いつもなら、面倒な場面だが今回は違う…


「お前ら弱そうだが、暇潰し程度にはなりそうだな…」

「ンだと!!なめやがって!!」


見下した笑みを浮かべれば、逆上する男達…。

だが、お前らがいくら怒り、その手に持つ武器を振り上げようが…


「…“ROOM”」


既におれのテリトリーに入っているお前らに、勝ち目は無い。


「何だこれ!?」

「こいつ、能力者か!!」


展開されたサークルに奴らが慌てふためく。

おれは抜刀し、軽く薙ぎ払う様に刀を振るう。


「どうなってんだ!!?」

「元に戻してくれよ!」


ものの数秒で完成した、奇妙なオブジェ達の声を無視し、おれは再び目的地も無く足を進めた。







 
 

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