生物の本屋さん
□『Change』
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ザァァァァ…
雨の音が鳴り響くアパートの一室。
ピピピピ、ピピピピ
雨音をバックに鳴る電子時計の甲高い聞き慣れた音。
独りの青年は電子時計のボタンを叩くとムクムクと布団から起き上がり、目を擦りながらカーテンを開いた。
ザァァァァァァァァァァ…
鳴り止まない雨音。
窓の向こうに見えるのは前がよく見えない位の土砂降りの雨。
降り続ける雨を見つめて、ポツリと呟いた。
「似てる…」
胸にかかった霧の白が土砂降りの雨に似ていた。
窓の前にしゃがみこんで中々動き出せない自分と、前に見えるネジ巻き式の随分と古びているフランス人形を自分と重ねていた。
あの人形は背中にあるネジを誰かが回さない限り動くことはない。
「誰か…」
誰か僕のネジを巻いて…
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