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□部活後
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部員やマネージャーが帰り、ミーティングルームに二人きりになった途端に名前に飛び付くように抱き着かれた。普段部員達を支えている頼りになるマネージャーの姿は消え、今は年相応の女の子其の物の姿だ。俺は難なく自分よりも遥かに小さな身体を受け止め、彼女を抱き締め返した。そうすると名前は猫のように俺の胸元に顔を埋めて頬を摺り寄せている。

「今日は何時に無く甘えただな」
「だって最近忙しかったから…」

顔を上げて眉を下げながら俺を見上げた名前に思わず頬が緩みかける。確かに最近は出張などで学校にもいなかった上に昨日までテスト期間だった。そのため休みの日に会う事も無く、今日まで電話やメールしか接点が無かった。寂しがりやな彼女は勿論、俺も早くこうしたかった。近くのソファに座り、俺の片膝の上に向き合う形で座らせる。

「……恥ずかしいですこの体制」
「今更何言ってるんだよ」

腰を引き寄せて顔の輪郭を指でなぞると、擽ったそうに身を捩らせる。そして顔を近付けると黒目がちな瞳に俺が映る。更に近付けると名前は瞳を閉じた。このままくっ付けるのも良いが、今日は少し焦らしたい気持ちのほうが優った。しばらく彼女のキス待ち顔を堪能していると、中々キスをしない俺に疑問を持ったのかうっすらと目を開けた。その不意を掴んで唇を押し付ければ、驚いて小さく息を漏らした。そのまま角度を変え、ちゅくちゅくと音を立てる。
俺について来ようと必死になっている姿が愛おしい。良い加減彼女の息が持たないだろうと思い、顔を離す。すると名前は肩で息をしながら俺に持たれかかる。

「…っ、佐久間監督」
「よしよし」

抱き締めながら髪の毛を撫でると、名前は満足気に微笑みながら今度は自分から俺に口付けた。本当に可愛いな。

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