ゴーグルと眼鏡と心配性

□ただいま
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「…疲れた」
「でも今日は良いものが手に入ったじゃないか!」
「巨人の爪と髪の毛でしたっけ?」
「うふふふふー早速研究しないと‼」

俺の前にいるハンジさんは瓶に入れた巨人の爪をほくほくとした顔で見つめている。周りは疲れきった顔をしているというのに、この人だけは元気はつらつだ。現に隣にいるモブリットの頬が心なしか痩けているような気がする。重たそうな門が開き、壁の中に入る。その中で見る光景は毎回決まっている。憧れの眼差しで俺達を見つめる子供や軽蔑、まるで憎んでいるようにして見る大人達だ。ただしこれは仕方が無いのだ。たとえ嫌われようと、誰かが壁の外に出なければ何も分からないままだ。
今回の壁外調査では死人や負傷者が出たものの、前回よりかは少なかった。俺は危うく巨人に噛み千切られそうになった左腕に軽く触れる。あの時モブリットが助けてくれなかったら、今頃左腕は巨人の胃袋の中だろう。

「…腕大丈夫か?」
「大丈夫。お前が助けてくれたお陰で軽く済んだよ」
「軽いって…そこまで軽くは無いが…。ちゃんと手当しておけよ」
「分かった」

心配そうな顔をする彼にこの通り大丈夫、と左腕を挙げる。応急処置で巻いておいた布に血が染み込んでいるが、彼からは見えないだろう。それにしても意外に痛いな。
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