進撃の巨人
□最悪な人生の終わりかた
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「ライナー、あなたは私が殺してあげるから」
そう約束した日から軽く一年は経っているだろうか…
殺し損ねたなぁ…ととめどなく溢れる自分の血を見つめながら考える
この傷をつけたのはミカサ
私はライナーを庇って重症を負った
何故!?と戸惑うミカサに私は枯れた笑みを顔に貼り付けこう答える
「このクソ男を、殺すのは…わ、たしだから、よ」
二人は無事逃げられただろうか…
エレンは結局連れていけたのだろうか…
そんなどうでもいい事を考える
「…マテリア!!!!!」
クリスタが私のそばまで走ってきて心配そうに覗き込む
「クリスタ…流石天使…神々しいな…」
訳のわからないことをのたうちクリスタの隣で顔を真っ青にして絶句するミカサに目を向ける
「ミ、カサ…気にしなくていい…あなたは間違ってない…!ただ、わ、私が間違えたの…」
彼に出会ってしまったから
彼の優しさや弱さに触れてしまったから
私が…彼を愛してしまったから
「やな人好きになっちゃったなぁ…」
流石はミカサと言ったところだろうか?斬撃は深く心臓すら突き刺していないものの肺辺りを貫通させて体の向こう側に今日はしている
「…ら、いな…ゴフッ…カッ…はっっ……はーっ…ゲホッ」
血が喉の奥から溢れうまく喋れなくてむせ込んでいると駆けつけたハンジさんが体を起こしてくれる
「マテリアちゃん…」
「ハンジ…さ…ありが…と…」
クリスタは止めようとしたが止めようとしたクリスタを更にミカサが止める
私はもう死ぬのだから安静にする必要は無い、だから…言いたいことを最後に言わせて…
「くそ…ゴリラ…め…バカ、ライナ……し、ね…好きだ、バカ…」
誰が馬鹿だ…そう言って小突いて欲しかった
そんな未来が欲しかった
無くなっていく手足の感覚に私は目を閉じ死を待つ
今まで下らない人生なのだと思いながら生きてきたけれど、愛する人を守って死ねたのなら私の人生はは幸せだったと言えよう。
それが例え人類にとって最悪を招いたとしても
私には関係のない事だ………。
私はとても幸せでした。