進撃の巨人

□忘れない
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「ジャンーーっっむぎゅーーーっっ」

そう言って彼の大きな背中に飛びつく

「っっ!…マテリア…?!」

驚くかれにへへへーと笑って見せて彼に引きずられながら室内を歩き回る

通りすがる同期のみんなに

「バカップル…」だの「恥ずかしくねぇのかよ…」だとか色々言われベーっと舌を出す

これが私の日常だった



なんでこうなっちゃったんだろう…


いくら考えても答えはわからないし私はもう一人で立ち上がることすら出来ない


「ジャン…先に行っちゃうなんて聞いてないよ…?」

ふふふ、と乾いた笑みを顔に貼り付け叩き割ったガラスの破片を握り締め独り震える

「…どうしたら…いいの…?ねぇ…教えてよジャン…」

もういこの世にはいない愛する人の名を口にするが私の問いかけは虚しく宙を舞う

死んだら良いのか

生きればいいのか

それすらわからない、私が死ねばジャンを覚えている人は少しずつ減って最後には誰も彼を知らなくなるかもしれない、それなら私が最後まで憶えていたい

でも彼のいないこの世界は余りにも悲しくて、そしてつまらなくて私には耐えれそうにもない

「どうしたら良いのよ…!!」

ガラスの散らばる床をドンっと両手で強く叩く
ガラスのハート刺さった傷口からじんわり血がにじみ出て床は少しずつ赤くなっていく

「マテリア…」

背後から優しい声が聞こえる

腕を捕まれ体が起こされ、私の血は自分の体をなぞる

「マテリア…生きるのをやめちゃダメだ、命を投げ出しちゃおしまいだよ」

大きな体が私を包む

「べる、とると…?」

私がその名を呼ぶと背中の大きな体はピクリと反応を示す

「私は…どうすれば良かったの?これから…どうすればいいの…?もう一人じゃ立ち上がる事も出来ないよ…」

「僕が居るよ…僕が一緒に居てあげる、ずっとずーっとね」

彼を思う涙がつーっと流れ落ち私は堕ちる


「……信じて…あげてもいいよ」


黒い笑みを浮かべる彼と唇を交わす




そして、私は都合のいい方へ流される






ねぇ誰か





誰か彼をジャンを覚えていてあげて




私には…







もう何もわからないから
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