進撃の巨人
□でこぼこ
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私には盛大な悩みがある。
それは生まれてこのかた15年、変わらず持ち続けた悩みだ。
「おっと、マテリア こんなとこにいたのか、ちぃせーからよく見えなかったぜ」
ケラケラと笑うジャンキルシュタイン。
「うるさいよ、馬面」
内心燃えたぎるほどイライラしてるのを隠しにこやかにイヤミを返す。
そう、私の悩みは"低身長"であると言うこと。
普段から気にしてはいたけれど、訓練兵になり、こいつらと暮らすようになって余計に自分の身長の低さが気になり始めた。
低身長といえばクリスタもそうだがアレはそう…別の次元の話である。
アニも思いのほか小柄だが態度の分…と言うかオーラ的な何かで低身長、と言うイメージは付きにくいのであろう。
そこで…私だ。
皆の低身長=マテリア 、という法則がつくのにそう時間はかからなかった。
さらにはこうやってジャンが毎日のように喧嘩を売ってくる始末だ。馬面野郎の癖に…ムカツク!!
「誰が馬面だよ、この整った顔が見えねぇのか?小さすぎて?屈んでやらねぇこともないぜ」
ジャンは喉のおくでクックッと笑うと殴りたくなるような顔をこちらに向けてきた
「まじ殴るぞこの馬面ナルシスト野郎!!」
「あぁ?上等だこのまめクソ女がっ!!」
また始まったぞー
あきねーなぁ…
やーいおばかこーんびー!!
などと外野が冷やかしてくるがもうそんなことはどうだっていい、今日こそ一発殴ってやる。
そう決め拳を握り腕を後ろに引く
だがいくら力を入れてもその拳は前には進まなかった。
「また喧嘩?ダメだよ、マテリアは女の子なんだから…」
後ろを振り向くと困った顔で笑うベルトルトがいた
「またべるとるとなの!?…もぉおお!!はなして!!殴らせて!!!!」
今日もムカツク馬面を殴れない上にどでかいベルトルトに後ろから見下ろされる。
ベルトルトは嫌いではなくむしろ好意を寄せている方だがこの高身長は私の心臓に悪い
「だからね?喧嘩はダメ、ね?」
「うぅ…」
私は不完全燃焼のままその場を後にする事になった。