愛する君からの贈りもの

□第五話
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雲雀「ナッツナツナツナツメくーん」

『なんだ、騒々しい』


ナツメが書類を片付けている自室に、雲雀がスキップをしながら入ってくる。


雲雀「ナツメに、真選組のお客さんが来てるよォ?」

『え?真選組?!』

雲雀「じゃじゃーん!山崎くーん!」


雲雀は手を広げると、ナツメの自室に山崎が入ってきた。


山崎「あ、あの…山崎です。どうも」

『…あ、あァ』


期待していた人物がいなく、ナツメは肩を落とした。


山崎「沖田隊長から頼まれて来ました。風間さん、これをどうぞ」


山崎は一つの封筒をナツメに差し出す。

その封筒を受け取ると、ナツメは隊服の内ポケットにしまった。


『監察方の山崎退だな。いろいろと迷惑をかけたな』

山崎「いいえ、とんでもない。俺はただ、沖田隊長のお手伝いをしたまでです」

『そうか。そう言ってくれるとありがたいな』


ナツメは小さく微笑む。


『今日、総悟はどうした?』

山崎「沖田隊長なら、副長に強引に連れられて、上のお偉いさんの所へ行きました」

『ふーん…アイツら仲が良いが…デキてんのか?』

山崎「あー、それは無いと思います」


山崎を怪しい目で見ると、ナツメは背を向けた。


『悪ィが、書類整理で忙しい』

山崎「あっ、すみません。あと、沖田隊長が、早めに封筒の中身を見るようにと伝言が…」

『分かった。見ておこう。総悟に礼を言っといてくれ』

山崎「分かりました」


山崎はナツメの背に頭を下げると、部屋から姿を消した。


雲雀「ねーねー、それなーに?ナツメ」

『雲雀には関係ない物だ。用がないなら部屋から出て行ってくれ』

雲雀「僕に言えない物なのォ?」


雲雀はナツメの背中に抱きつくと、肩に顎を乗せる。


『言えないな、コレは』

雲雀「どーしてェ?真選組の人は知っていて、どうして僕には教えてくれないのォ?」

『雲雀には関係ないから』


雲雀は頬を膨らますと、ナツメの脇腹をくすぐる。


『わっ…!な、何、雲雀。やめっ』

雲雀「へへへーっ!こちょこちょ攻撃だよォ?」

『んな事してんじゃねーよ!わっ…本当…やめっ!』


身をよじるナツメだが、雲雀はしつこくナツメの脇腹をくすぐる。


雲雀「なら言ってよォ。その封筒の中身はなーに?」

『あっ…ははははっ…だ、だからっ…なんでもないっ…ははッ』


目に涙を溜めて笑うナツメは、畳の上に転がった。

うつ伏せになるナツメの上に馬乗りになると、ナツメのうなじに唇を近づける。


雲雀「ナーツーメーくんっ」

『はぁ…はぁ…雲雀。頼むからどいてくれ…』

雲雀「やーだっ。たまには僕にかまってよォ、ナツメ」

『忙しいんだ。見てわかるだろ?』

雲雀「わかんなーい。僕にはナツメしか見えないもォーん」


ナツメの背中の上で陽気な声を上げる雲雀に、ナツメはため息をつく。


『分かった…少しだけな。少しだけかまってやるから…うつ伏せはキツいんだよ』

雲雀「わーい!本当?!じゃあ、仰向けなるー?」


雲雀はナツメを仰向けにさせると、またその上に乗った。


『…なんで乗るんだよ』

雲雀「ナツメの顔見たいからァ」


雲雀はナツメの胸の上に顎をおいて見つめる。

ふんふんと鼻歌まで歌い始めた。


『…これが楽しいのか?』

雲雀「ナツメと密着してるだけで、楽しいよォ」

『変わりもんだな』

雲雀「だってねェ、僕、ナツメの事大好きなんだもーん」


ヘラヘラと笑う雲雀が、なんだか可愛く思えてしまう。

ナツメは雲雀の髪を優しく撫でた。


『それはありがてェ言葉だな』

雲雀「ナツメ、嬉しい?」

『あァ、嬉しいよ』

雲雀「僕もナツメとこーやって、イチャイチャできて嬉しいの」


雲雀はナツメの顔に己の顔を近づけた。

驚いたナツメは唇をへの字にさせる。


雲雀「ナーツーメェ」

『…な、なに…』

雲雀「チュッチュしたいなァ」


雲雀の指が、ナツメの唇をなぞる。


『な、何言って…』

雲雀「チュッチュしちゃやーだ?」

『んな事するわけねーだろ?冗談もほどほどにしろよ』

雲雀「むう。ケチんぼォ」


雲雀は頬を膨らませると、ナツメの胸にうな垂れた。


雲雀「んん…ナツメェ」

『お、おい。ここで寝るのか?』

雲雀「少し…おやすみしよ」

『寝るなら布団を敷いてやるから…そこで寝ろよ』

雲雀「ナツメのここで…寝たいの…。おやすみなさ…い」

『お、おい…雲雀…』


ナツメの胸の上で寝息を立てる雲雀

そんな雲雀にため息をつくと、ナツメもだんだんと瞼が降りてくる。


『ん…俺も、眠ィかも…』


隙間風が、そよそよと雲雀の柔らかい髪の毛を揺らす。

ナツメは雲雀の柔らかい髪の毛を撫でながら、ゆっくりと瞼を閉じた。

二人は夢の中へ入って行ったー…





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