貰いもんはいらなくても貰っとけ

□第三話
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広場につくと、みんなはまだ刀を交えていた。

あの土方と黄瀬や沖田と嘉禄も、全身傷だらけであった。

銀時は近くにいた青髪の青也に声をかける。


銀時「えーっと、そこの君。鬼襲隊の人だよね?」

青也「あ?テメー誰…うゆ?!」


青也はうゆに気づくと、銀時が抱きかかえているうゆにそっと触れた。

うゆは瞼を閉じていて、小さな息をしている。


青也「う…うゆ?!うゆ!うゆ!」

銀時「シーッ。起こしたらダメだ。すぐにうゆを船へ戻せ」

青也「…えっ?」

銀時「背中を酷くやられている。出血もひどい。今夜は下がれ。勝ち目がねェぞ」

青也「お前…まさか…」


銀時は青也にうゆをわたすと、うゆの頬にそっと手を添えた。


銀時「無茶しやがって、このチビが」


銀時は青也の前から去ると、土方と黄瀬の所へ走る。

二人が刀を交えている中に入り、銀時が木刀で二人を止めた。


土方「よ、万事屋…?!テメー、なんでここにいるんだよ!」

銀時「金髪の君。テメーら鬼襲隊の負けだ。手を引け」

黄瀬「あァ?!なんだこの銀髪頭。俺の金髪の真似してんのかァ?」

銀時「んなわけねーだろ。今はそれどころじゃねェ、うゆが…テメーん所の総督がやられた。すぐ行け」

黄瀬「…なんだと、うゆ様が?!」


黄瀬はすぐに土方から離れると、青也の元に走る。

銀時も沖田と嘉禄の戦に紛れ、二人の間に入った。


沖田「旦那、邪魔でさァ。アンタまで斬りやすぜ」


沖田も嘉禄も瞳孔が開いていた。


銀時「ストップ、ストップ!落ち着いて、二人とも!」

嘉禄「うるさいねェ、この人。誰なの、殺すよ」

銀時「ちょ、えっと、待って。あのさ、お前ん所の総督が負傷した。すぐにうゆん所行け」

嘉禄「え?なんて…」


嘉禄は血相を変えて首を傾げる。


銀時「とにかく行け。うゆの命があぶねーんだ」


冷静な口調で銀時が言うと、嘉禄はすぐさまうゆに走って行った。


沖田「旦那、なんで邪魔するんでィ。アイツは俺の敵でさァ」

銀時「わりーな。相手の総督が負傷しちまってな」

沖田「…は?うゆが?」


うゆを名前呼びをする沖田に一瞬驚いた銀時だが、「あァ」と頷く。


銀時「ジミーくんに背中を斬られてな。意外と深いんだ、傷が」

沖田「山崎に…?!」

銀時「…死なねェと思うが…一応手当はした方が良い。傷が残っちまう。悪ィが今日はここで…って、アレ?沖田くん?」


もう銀時の隣りに沖田の姿はなかった。



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