貰いもんはいらなくても貰っとけ

□第三話
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ーーーーーそしてうゆは。


青也、赤音、紫円が他の隊士の相手をしている中うゆは一人、局長の近藤を探していた。

近藤は応援を頼むため、松平片栗虎に電話をしていた。


近藤「とっつぁん!急いでくれ!あの鬼襲隊が屯所内で暴れているんだ!…あァ、あァ!すぐにだ、たのっ…」


プツンッ…

受話器の線がいきなり切れる。

近藤はゴクリと唾を飲み込むと、隣りを見上げた。


『こんばんわ、近藤勲さん』

近藤「お、お前は…!鬼頭うゆ!」

『正解。覚えづらい名前をよくご存知でしたね』

近藤「ははっ、覚えづらい名前だからこそ、覚えていたんだがな」


ヘラヘラと笑う近藤に、刀の先を向けるうゆ。


『せっかく覚えていてくれたのに、悪いねェ。アンタには死んでもらうよ』

近藤「なんだそりゃ。俺は死にやしねェぞ?お前らの企みはなんだ。何がしてーんだ」

『江戸を壊す事さ』


生唾を飲み込む近藤に、うゆは近藤の喉に刃先を当てる。


『いちいち邪魔されちゃあ、困るんだよねェ。何度も幕府を壊滅させようとしてきたのに、アンタらが邪魔するから。だから先に、邪魔なアンタらを排除しようと思って』

近藤「悪いが、俺たちは幕府の下についたわけじゃねェ。俺たちには武士道がある」

『んー、よく分からないや。とにかくさァ、幕府の味方をしようが、しないが、アンタは形上じゃ幕府に仕えている犬。つまり、幕府に味方してるってわけ。俺らの敵』

近藤「…逆に聞くが、テメーらはなぜ、江戸を壊そうとする?」

『…テメーに言って解決する事かァ?』


近藤は目を伏せたが、何かを決意したかのようにうゆを見上げた。


近藤「もし、俺らに何かできるなら…何か協力しよう。それで江戸が壊滅されなければ…俺たちは、」

『はんっ。無理な話だな』


うゆは刀を降ろすと、眉を寄せて近藤を睨んだ。


『近藤勲。テメーが俺たちに協力すると言ったその言葉はありがてェ。けど俺たちがお前らに望む事は邪魔をしねェ事か、死だ。テメーらが俺たちに協力しようがしないが、俺たちは江戸を潰す』

近藤「なぜ…なぜんな事を!」

『なぜ?…ふん。こっちが聞きてェぐらいだぜ。…テメーなァ、知ってんだろ。吉田松陽の事を』

近藤「吉田…松陽。名は聞いた事があるが実際には…」


小さく顔を横に振る近藤に、うゆは鼻先で笑う。


『そりゃ会った事あるめェ。吉田松陽は…幕府に殺されたんだからなァ』

近藤「…ッ!!」


近藤は驚いた目で俺を見上げる。


『だから俺たちは動く。この腐った世界を壊すために。高杉晋助、あの人を中心にな』

近藤「お前っ!まさか高杉と手を組んでいたのか?!」

『ふん。別に組んじゃいねーさ。俺ァただ、晋助の進む道を綺麗に掃除しているだけ。最後を綺麗に飾るのは…晋助だ』


うゆはもう一度近藤に刃先を向けた。


『長ったらしい話はここでしめェだ、近藤。テメーは死ぬ。土方は黄瀬に殺され、沖田も俺と殺り合う事なく嘉禄に殺される。アイツらは相当つえーからな』

近藤「…なめられちゃあ、困るなァ。鬼頭うゆくん」

『…あ?』

近藤「トシや総悟の他にも、強い隊士ならいるぜェ、ここに」

『おいゴリラ。何言ってやがる、ここには俺とテメーしか…』


グシャァァア!!

うゆの背中に痛みが走り、その場に倒れるうゆ。

うゆは背中を何者かに斬られたのだ。


『クッ…!!!』

近藤「な、ザキ。お前もじゅうぶん、つえーよなァ」


うゆを斬ったのは山崎退だった。







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