小さな言葉から生まれたもの達

□呼ばれた筈の朝
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朝、まだ外がまどろみから覚め始めている頃。
頼りない陽の光の中、目覚めた私の心の中は不安しかなかった。

孤独から生まれた寂しさ

自分は一人しかいないという悲しさ

彼が此処にいないという恐怖

其れ等が混ざり合って出来た不安。

ただ其れだけしか感じなかった。
嫌だった。
不安など感じたくなかった。
でも、其れ等を追い出すことは出来なくて。
不安で不安で不安でしょうがなかった。
彼の温もり、声、匂い、総てが必要だった。
でも、彼は此処にはいない。
それでも、彼が欲しくて名前を呼んだ。
心の中で、声が枯れるほど叫んだ。
彼に届くはずなんてないのに。




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