ハチミツどろっぷす

□11.不良少女とライバル
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『宜しくお願い致しまーす!』


「お願いします!」


「お願い致します」


今日はミュージックスターという番組の収録


最近人気の歌手グループを中心に取り上げる番組だ


『さて……今日も張り切って行くよ!』


「もっちろんよ!」


ファイトー……オォ!といつも通り3人でやっていると……そこに静かに現れた、3人の少女達


「こんにちは、DropSの皆さん」


『…………貴方達は…』


振り向いた所にいた少女達の事は凛達もよく知っていた


何故なら、


「共演するのは初めてかしら?うふふ……私達とっても楽しみにしてたのよ?」


『……そりゃどーも…』


少し目をそらしながら不機嫌そうに答える凛


そんな様子を見た相手はニコッと笑った


「そんなに警戒しなくていいのに。私達………SiriusもDropSのファンだもの」


Sirius(シリウス)


最近DropSと同じくらい人気が急上昇しているアイドルグループ


「まぁでも、ちょーっと最近キャラ被りがあるかなぁーって心配なのよね?」


腕を組みながらニヤッと笑ったのは月島加奈恵。ファンの間では「カナポ」と呼ばれる2つ結びの小悪魔系女子


「コラッ……やめなさい。そういう事は本人達の前で言っちゃダメだよ」


無表情のままペコっと軽く頭を下げたのは空田彩也子。ファンの間では「サーヤ」と呼ばれるクール毒舌系女子


そして、


「ごめんなさいね?2人共正直なもので…気にしないでもらえるとありがたいわ」


リーダーの星名由香里。ファンの間では「ユカリン」と呼ばれる正直何を考えているかわからない美人女子


Siriusの態度にさすがにカチンときた咲と蘭は3人の事をジッと睨んだ


『……あ、そう。まぁ別に何を言われても気にしないのでお構いなく。じゃ、また…』


「……あぁ、そうそう…1つ言い忘れた事が」


『……?』


「……これから色々と、宜しくね?」


『……は?』


意味のわからない発言に本気で首を傾げる凛


意味深な言葉と微笑みに…蘭と咲は凛の前に立ち、そして静かに怒りを露わにした


「……アンタ、私らのリーダーになんかしたらマジで許さないよ」


「何を企んでいるか知らないけど、直接仕掛けてくるようならコッチだって黙ってない」


『ちょ、2人共……!』


「ふふっ……そんな事しないわ。私はもっと凛さんと仲良くしたいだけよ?」


『…………』


じゃ、また……会いましょう?


そう言うとSiriusのメンバーは楽屋の中へと消えていった


「なんなの?あの人達」


「凛、気にしなくていいからね」


『うん……』


少しモヤッとした凛であったが、収録の時間が近かった為顔を軽く叩いて引き締めた


『……ま、気にせず自分達のベストを尽くそう』










































「よそ見してないでさっさと真面目にこぐのだよ」


『ごめんねぇー高尾』


次の日の朝


高尾はゼーゼー言いながら緑間と凛を乗せて必死に自転車を飛ばしていた


最初はダサい……と思っていた凛であったが、今はすっかりチャリアカーで学校に行くのが凛の日常となっていた


「……あ、昨日のミュージックスター見たぜ!」


『ほんと?ありがと!』


「俺も見たのだよ」


『え!?緑間も!?』


「ふん、勘違いするなよ。俺は妹が見ていたからたまたま視界に入っただけなのだよ」


少し顔を赤めながら眼鏡をクイッと上に上げる緑間


「ふーん……え?じゃー真ちゃんの妹ちゃんもまさかのDropSファンとか?」


「いや、確かアイツは……」








キャァァァァァァァァァァ!!!


ウワァァァァァァァァァァ!!!


『!?!?』


学校の前に着いた途端、聞こえてきたのは男女の悲鳴


『な、何?』


「朝から騒がしいのだよ」


「なーんかみんなあの黒い車を見てね?つーかあの車なんだ?」


チャリアカーを停め、人だかりの出来ている方へ3人で向かった


しかし、騒ぎの正体を見たく前に行こうとするがなかなかいけない…3人は少し離れた所からその車を見ていると、ガチャッと開く扉


「……こんにちは、皆さん?」


『!?!?!?!?』


出てきたのは凛も…いや、ここにいるほぼ全員が見覚えのある顔


『あ、あんた……っ』


「今日からここ秀徳高校でお世話になります、星名由香里です。皆さんよろしくお願い致しますね」


ニコッと微笑む由香里


周りからは歓声の嵐であった


「嘘……っ!?あ、あれってSiriusのユカリンだよな!?!?」


「き、昨日妹が言っていたSiriusのリーダーがここに……どういうことなのだよ!凛!」


『………わ、私に聞かないでよ!私だって今混乱してんだから…っ』


なんで……なんでなのよ……っ!?


「……!!ごめんなさい、皆さん。ちょっとそこを通して下さいます?」


『……ゲッ!』


凛を見つけると、由香里は周りに道をあけさせ、こちらにゆっくりと歩いて来た


もちろん周りは何で?と思ったが目の前に生アイドルがいる事によってもうどうでもよくなっていた


「凛さん、おはよう。そしてこれから宜しくね」


『……アンタ、どういうつもりよ。こんな所にまでやって来て』


「どういうつもり……?あら嫌だ、昨日言ったじゃない。私はただ凛さんと仲良くしたいだけよ?」


『あっそ。勝手にすれば』


高尾、緑間、行くよ


そう言うと凛はクルッと身体をひるがえして学校の中へ入って行った




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