橙色の彼女

□第23話 「最近また聞こえるようになったんすよね…風の音…」
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『…………』


「しーちゃん…?大丈夫?」


『あ…うん…』


最近ボーッとする事が増えた、多分


自分はいったい何をすべきなのか、何と声をかければ良いのか


わからない


あの後、監督に問いただしても「すまない…」としか言わない


征君も変わってしまい以前のように声をかけられない


真ちゃんは最近イライラしているようだ。きっと原因は、大輝とアッ君


テッちゃんは…元気が無い。バスケをただ無心でやっているように、見える


涼ちゃんは………


『…………』


マネージャーとして何をすべきなのだろうか


何が正解で何が不正解なのか、わからない


私は……ただ壊れていく姿を黙って見ているしか無かった























『涼ちゃん…?』


「あれ、栞じゃないっすか」


『何でこんな所にいるのよ…』


こんな質問無駄だと思った


答えはわかっている


「あぁ…部活はもう行かないっす」


『…………涼ちゃん…』


「最近また聞こえるようになったんすよね……風の音…」


涼ちゃんはそう寂しく言う

 
わかってた


最近、涼ちゃんも変わってしまった


いや、元に戻ったと言うべきなのだろうか


ーーー全てに冷めていたあの頃に


「俺これから仕事なんすよ。栞最近全然来てくれないってスタッフさん泣いてたっすよー?」


『………うん、そうだね…』


部活を優先していたから…モデルの仕事は最近行ってなかった


『私も、行く』


「え!?良いんすか?部活とか…」


涼ちゃんがそれ言う?


と私は笑うと荷物を持って学校を後にした








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