カラフルDay'S
□40.「………………久しぶりだな、虹村」
1ページ/3ページ
『…………はい……はい、わかりました。失礼致します……』
電話を切るのと同時に流れる沈黙
私の顔は真っ青になっていた
「まさか……彩香先生が…」
テツくんがグッと唇を噛みながら悔しそうに言った
「……いよいよ本格的にこの街は安全じゃなくなったということだな」
『せ、征十郎……』
「戻ろう。やはり虹村さんに相談するべきだ……ここは危険だ」
征十郎の言葉に皆は大きく頷いた
そして私の手を取りながら「大丈夫、俺たちがついているからな」と言い、小さく微笑んだ
「その写真の男……片岡は俺の知り合いです」
「なんだって、シュウ!?」
「……元仕事仲間だそうですね。虹村さん、何でもいいです。彼の知ってる事を教えてください」
桜井は真剣な表情で虹村を見つめた
そんな桜井に修造は小さく頷き、そして今吉に言った
「……これが…片岡の仕業なら………この事件、アイツの狙いは俺です」
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーー
ー
虹村修造と片岡健也
2人はとても優秀であった
優秀な2人を見て、周りは次の船長はどちらかであろうと噂していたほどであった
そんなある時、修造は見てしまった
ーーー片岡が密売に手を貸していた現場を…
「片岡……なにやって…」
「……に、虹村…っ!これは…」
「……お前、これって犯罪、だろ?何犯罪に手を貸してんだ」
「……………っ」
苦い顔をしながら俯く片岡に修造は少し考え、そして
「………俺は何も見てねぇ」
「は?」
「今後もう犯罪に手を染めねぇと約束しろ。そしたら誰にも今日の事は言わねぇ……お前は優秀だから、俺なんかよりよっぽど船長の資格がある。だから…これで終わりにしろ」
「に……虹村……」
そう言って修造は目をつむった。きっと彼なら…と。仲間を信じたのだった
そしてその片岡も修造の言葉に胸打たれ、密売を止めようと決意した。それにライバルからの船長の資格がある、という言葉
片岡は船長になれるものだと確信した
しかし、それは呆気なく散る
「虹村、お前が次のこの船のトップだ」
片岡ではなく修造
そう、選ばれたのは修造だった
そして片岡は密売に手を染めていた事がバレた
………あの時、修造以外にも現場を目撃した者が告げ口をしたのだった
そして、その次の日から片岡は姿を消した
『……た、ただいま…ってアレ?今吉さんに桜井くん?』
「おお、久しぶりやな」
『どうかしたんですか…?皆さんここに…』
「いやいや、ちょっとお兄さんに犯人の話を聞いただけや」
『犯人?』
まさか……と思った私は真っ青な顔をしながら今吉さんの袖をつかんだ
『あの……通り魔事件の…!?』
「……そや。でももう安心せぇ。犯人はもうわかったで」
『え!?本当ですか!?』
「あぁ、だからもう大丈夫や。後は警察に任せぇ」
ほな、またな
そう言って今吉さんと桜井くんは帰っていった
『………犯人わかったんだ…!』
「おかえり、茜」
『お兄ちゃん!』
「もう全部終わったから安心しろよ?」
ニッと笑うお兄ちゃんに私もニコッと笑いながら『安心した!』と、言った
「…………」
そんな兄妹のやり取りを奥で見つめながら、本当にこれで終わりなのだろうか……と1人何かに引っかかっていた氷室であった
・