カラフルDay'S

□24.「俺を…兄と呼ばないでくれ」『………っ!?』「俺は………っ」
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「お、やっと来やがったな」


「わりぃ!待たせた!」


「先輩待たせるとはいい度胸だなオイコラ」


「こんな時だけ先輩ぶんじゃねーぞゴラ」


「うるせぇな、埋めるぞゴラ」


「お前らうるせぇぞ。店の前でケンカすんなし」


バシッと俺と清志の頭を叩く福井さん。意外とダメージをくらい少し頭がクラっとした


「いらっしゃい。虹村君、宮地さん」


「よぉ……なぁ、そのニジムラ君ってのやっぱダメ。なんか堅いわ」


「えー…じゃーシュウって呼んで良い?」


「おう!俺もタツヤって呼ぶな!」


再会の記念に飲みに行こうと誘われ、今とあるバーにいる。なんでもヒムロ君……タツヤが経営しているとか?


……あり?なーんかどっかで一度聞いた気がするな…まぁいいや、めんどくせぇ


「何飲む?」


「んーと…んじゃー普通にウィスキーのロック。清志は?」


「俺も同じでいい」


周りには俺達以外誰もいなかった。なんでも、特別に店を早めに閉めたらしい…


「はい、お待ちどうさま」


「おう、ども」


渡されたグラスを一気に飲む。流石に少しキツかったがこれがまたたまんなかったりする


「さて、アルコールも入った事だし。恋バナでもしますか!」


「は?恋バナ?」


福井さんの発言にポカンとする。いやいや…女子じゃあるまいし


「ねぇ、俺ずっと気になっていたんだけどさ…シュウって恋とかした事あるのかい?」


「恋?さぁ…?」


全く興味がなさそうに答える俺を見た清志達はつまらなそうに目の前にある酒を一気に飲む


「お前、告白とかされた事あんだろ?イイなーとか可愛いーとか!思った子…いねぇの?」


「告白はされた事あるけど別に……他の女とか興味ねぇし。茜以上の女なんてこの世に存在しねぇし」


「OKOK、茜が大好きなのはわかってるから。つーか、今の話絶対に岡村にすんなよ…?」


「誰ですか、オカムラって…?」


「今日はいねぇゴリラの事」


「ゴリ……は…?」


よくわからないが、従業員が他にもいるという事だろうか…?


「仲良かった女子とか…いねぇの…?」


「仲良かった…基本的に俺誰とでも仲良くできるぜ?まぁ特に仲良かったかわからねぇが…相田とはよく喋ったかもな」


「相田?」


「しらねぇだろーけど」


俺がよく通っていたジムのオーナーの娘…だっけ?バスケの事も意外とよく知ってるみたいで話やすい奴…だったような気がする


いやだってあんま覚えてねぇし。何年前の話だと思ってんだよ


「相田………どっかで聞いた事あんな、オイ」


「なんだったかな…あの…ほら…」


「誠凛の監督さんじゃなかったですか?」


…監督?


「ああああああ!!思い出した!そうだ、あそこの監督女だったな!高校生の!」


「は?高校生?は?監督?」


「あれ?お前しらねぇの?」


「高校のバスケはあまり…その時は親父の事で大変だったんだよ」


中学の終わりに親父が体調を崩した


母親は早くに亡くして親父一人の収入で生きてきた俺達にとっては、これから一体どうやって生きていけばいいのか……全くわからない状況であった


不安で泣いていた茜。そんな妹を見た俺はこれからは俺が全てを支えて行こうと決心した


バスケ部の主将は赤司に譲り、空いた時間にバイトを入れ、とにかくガムシャラに生きていた


高校には行かずに中学を卒業したらアメリカに渡った。親父がアメリカで治療を受けていたからだ


親父を一人にするわけにはいかない。俺が側にいてやらなきゃなんねぇ…


その頃、自分も高校へは行かないと言い出した茜に俺の分までバスケを続けて欲しいと説得し、泣き泣き秋田へ送り出した。俺だって本当は茜とアメリカに行きたかった


でも…アイツにはどうしてもバスケを続けて欲しかったんだ


「その後親父も死んでこれから先どうしようかと考えていたらな、茜が大学受験しろって言ってきてよ」


「茜が?」


「あぁ。自分だけ高校に行った事やっぱり気にしてたみてーで。茜、お金まで送って来やがってさ……」


「なるほど……そういう事だったんだ」


タツヤは優しく微笑みながら


「いいバイト先知らないかって言われた事があってね。急にどうしたのって聞いたら……」


“今度は私が支えてあげなきゃいけないんです”


「ってね」


「……………」


少し照れ臭くなった俺は残っていた酒を一気に飲む。その様子を見た清志もニヤニヤしながら酒に口を付けた


「お前も今まで大変だったんだな…お疲れさん」


「いえ、そんな…」


「茜も立派になった事だし、ゆっくりその辺の女捕まえて付きあってみろよ」


「だぁーから興味ねえって言ってんだろーがぁ!そう言う清志だって彼女いねぇんだろ?さっさと作ってさっさと結婚しろ」


「俺はみゆみゆがいるから大丈夫だ」


「は?みゆみゆ?」


そういや、清志はドルオタだったわ……







〜♪〜恋するフォーチュンクッキー♪未来は♪


ピッ…!


「もしもーし」


………うわぁー清志の着信音キモッ( ファンの方すみません…)


「おお…は?修造?いるけど……あぁ、ちょっと待て。おい、修造。お前今携帯の電源切ってんのか?」


「は?携帯?……あ、切ってたわ」


「茜がお前に繋がらないって心配してんぞ」


「マジか……って、茜!?その電話の相手茜なのか!?なんで俺じゃなくて清志にかけてんだよ!」


「お前バカ?てめーの携帯の電源が切れていたからだろーが!!」


「あ、そっか………よし、今電源入れたからこっちに今すぐかけ直せと伝えてくれ」


「はいはい…」


清志は茜に伝えると携帯を閉じ、呆れながら


「修造って本当茜絡みの話になるとバカになるよな。いや元々バカだったか?」


「うるせぇ。つーかお前の着信音何あれ。超キモイんだけど」


「はぁ!?お前AK○なめんなよ」


「みゆみゆじゃねぇーの?AK○だったっけ?」


「みゆみゆはもうとっくにアイドルを引退してますー引退しても俺のアイドルはみゆみゆと決まってんだよ!AK○は最近気になっているだけだ」


「俺よく知らねーけど可愛い子いんの?」


「今一番の推しメンはまゆゆ」


「は?」


みゆみゆだか、まゆゆだか知らないが…


「俺の妹には勝てないな。茜がAK○に入ったら毎回センターだから。総選挙一位だから」









〜♪お兄ちゃーん!電話だよー!♪


「「「!!??(えっ!?)」」」


ピッ…!


「もしもし?わりぃな、電源切ってたわ」








「清志…聞いたか?」


「バッチリ」


「えっと……茜のボイスの着信音でしたね…?」


「引いた」


「超引いた」


流石にそれはねーよ、と思った三人であった……







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