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□No.22 俺の女
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………コンコン




「はい…」


『おはよ、ミカサ』


「ね、姉さん!どうしたの…というか何故ここに…」


『今日こっちで朝から会議があったから。実は昨日から本部に泊まってたの。ほら、エレンもいるよ』


ミラは後ろにチラッと目線やると、笑顔のナーシーと「よっ、ミカサ」と手をあげるエレンがそこにいた


「!!!!…エレン!!」


『さ、ミカサ。行くよ』


「い…く?どこに?」


『決まってんじゃない。食堂よ』





























「姉さん、実は昨日の実地訓練で気になった事があって」


『なに?』


食堂に向かう姉妹の後ろを歩くナーシーとエレンは顔を見合わせ、小さく笑った


「すっかりミラ補佐官と仲良しっすね、ミカサ」


「そうね…本当によかった…お嬢様に笑顔が戻ってきたから…本当に……」


『ナーシー、エレン。遅いわよ…早く来なさい。私お腹空きすぎて頭可笑しくなりそう』


クルッと振り返るミラは少し不機嫌そうに腕を組み、ナーシーとエレンに『早く』と促す


「全く…困ったお方だ…ふふふ」


「す、すみません!補佐官!!今行きます!!!!」














食堂に着くと…そこはすっかり沢山の兵士達で賑わっていた


空いている席を確保し、料理をテーブルへ運ぶとミラは真っ先に肉料理に手をつける


「お嬢様ぁ〜?そんなにがっつかなくても誰も取りませんから」


『お腹空きすぎて頭可笑しくなりそうって言ったでしょ?』


「はいはい…」


『ミカサ、兵士たるもの、食わなきゃ戦えないわ。ちゃんと食べて力をつけるのよ』


「もちろん、姉さん」


姉妹の食べっぷりにさすがに引き気味のエレンと呆れ顔のナーシー


『ナーシー、手が止まってる。この後会議あるんだから急ぎなさいよ』


「お嬢様にそのような事を言われる日が来るなんて」


『うるっさい』


ギロッとナーシーを睨みながら、ミラは骨つきの肉に手を伸ばした瞬間…


ミラの後ろから「どーもおはようござます」と言いながら肩にポンっと手を乗せてくる男がいた


声の方へミラは振り返ると男が2人、ミラが知らない兵士だった


『………おはよ』


「ねぇ、補佐官。あんた駐屯兵団から戻ってきてすぐ兵士長補佐官っていう地位についたらしいけど…一体どうやって手に入れたんすか??」


『ハァ?』


「だってそんなスピード出世ありえないでしょ?あぁ…もしかして……団長や兵長と…寝た?」


『…まぁたこの類の話か……なんなの?食堂に来るとみんな性欲でも増すわけ?朝からご苦労様』


ミラがやれやれ…とため息をつくのと同時に、ガタッ!!!!と勢いよく立ち上がり、その男達に掴みかかろうとするミカサ。そんなミカサにナーシーは急いで彼女の腕を掴み、静止させた


それを合図に、周りにいた兵士達もその様子をジッと見つめ、コソコソと会話をし始める


「アイツ…殺す」


「ミカサ落ち着いて!エレン手伝ってちょうだい!!」


「は、はい!」


「おっかねぇーー…なんだあの女」


「アレだよ、今年首席で入った新兵。ミカサ・アッカーマンだ」


「うわ……ホントにありゃ人間かよ。獣みてーな顔しやがっ…」


『オイ』


ガタッ……と。やっと立ち上がるミラ


その目には地下街でミラがよく目にしていた“豚”を見るような…冷たいものしか感じられなかった


『アンタら、私が今の地位にいるのがそうとう気にくわないみたいだけど。まぁそれはいい…ただ私の大事なミカサを馬鹿にするような発言は許せないね』


「フッ…気にくわないねぇ…俺たちはただどんな手を使ったのか知りたくなっただけだぜ。夜の相手してくれんならさ…是非とも俺もお願いしてぇなって思ったんだよ…アバズレ」


『あーらホントに私の相手が務まるとでも思ってんの?開始3分経たないうちに役に立たなくなりそうね…アンタの』


「んだとこの尼ァ!!!」


『ハッ、てめぇみてーなお粗末な男が私に敵うとでも思ってんのか?本気でヤれると思うならやってみろよ。この短小野郎』


「てめぇぇええ!俺を馬鹿にしやがって!!!!!!!」


グッと拳を握り、振り上げる兵士


ミラは相変わらず小馬鹿にしたような笑みを浮かべながらそれが振り下ろされるのを待っていた

















たが、その腕が振り下ろされる事は永遠になかった






「…茶番は終わりだ」






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