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□No.17 全てこの為に育てていたと…そういうことかしら?
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「元気にしていたか?」


『………………』


「あの日、突然ミラがいなくなるから…私は本当に心配したんだぞ?」


『………………』


馬車の中


ミラはアンドレスの言葉に全く耳を傾けないまま窓の外をずっと見つめていた


王都


さすがにここには来たことがなかったミラ


これから自分は何をされるのだろうか


そんな事を考えていると……馬車が止まった


「…………旦那様、到着致しました」


「ご苦労。さぁ、ミラ。来なさい」


『………………』


とりあえず黙ってついていく


大丈夫、ちゃんとナイフを内ポケットに仕込んである


「やぁ!お待ちしておりましたよ、シャークさん!」


案内された部屋の中にいたのは如何にも金持ち臭のする貴族…と、若い男


「お待たせしました、ハリス様……こちらが娘のミラです」


『…っ』


娘、という単語に一瞬顔を強張るミラであったが


『はじめまして、ミラです』


ニコッと笑い、挨拶を言った


「ほう…綺麗で礼儀の正しい娘さんですね。エリック、挨拶しなさい」


「はい」


『………………』


「はじめまして、息子のエリックです。憲兵団に所属しています。宜しくお願いします」


エリックもニコッと笑う


『………………』


何を宜しくするのか全くわからなかったが、とりあえず言っておこう


『……宜しくお願いします』


「ミラ、エリック様とご一緒に庭でも散策して来なさい」


『……庭?』


なんでそんなことしなきゃなんないわけ?


……と言いそうになったが、グッと堪える


『わかりました』


「では行きましょう、ミラさん」


『はい』


部屋に2人を残したまま、ミラとエリックは一緒に庭へ向かった




































「あの…ミラさんはもしかして調査兵団で最近リヴァイ兵士長の補佐になったという…」


『えぇ、そうです』


「とてもお強いと聞きました。女性なのにすごいですね!」


『はぁ…』


広々とした庭を歩きながら会話をするミラとエリック


ただ、ミラは未だにこれが一体なんの集まりなのかわからず少しイライラしていた


「あの」


『なんですか?』


「そろそろ……自分を偽るのキツイな、と思ってません?」


『はい?』


「ミラさんは本当はこんなに大人しい方ではないのでは?今親もいませんし……砕けてもいいですよという話です」


『………………』


ジッと睨むミラ


『………ふっ、あ、そう。だったらそうさせてもらうわ』


「顔と違って随分と男勝りな方だ」


『うるさい。ていうかさ、これなんなの?私いつまでアンタの相手をしてればいいわけ?』


「…………………ふはっ!」


私の質問に耐えられなくなったのか、吹き出し、笑い出すエリック


「君本当面白いね。なに?調査兵団にいるとそこまでネジ曲がっちゃうの?」


『は?』


「あーごめんごめん。別に調査兵団の事バカにしてるわけじゃないんだ。むしろ尊敬しているよ…自分から死ににわざわざ壁の外へ行こうとするなんてさ」


『………………へぇ、それが本当のアンタね』


静かに殺気を出すミラ


ただ言い返したりはしなかった


何故なら……自分も、調査兵団に入るまではそう思っていたから


「ていうかさ……君何も聞かされてないの?」


『何が』


「だってさっきいつまで相手をしてればいいか聞いたじゃないか」


『そうね、残念ながら何故ここに連れて来られたのかサッパリだわ。まさかこーんなお坊っちゃまの子守だとは思わなかったけど』


「それは違うな」


急にミラの腕を掴むエリック


ミラはビクッと反応をするが振り払いはしなかった


「じゃー教えてあげる。これはね………























お見合いだよ」


『お見合い……ですって?』


ミラは目を見開きながら顔が真っ青になった


「そうさ、お見合いというか…僕と君は結婚をすんだよ。これはもう残念ながら決定事項だ」


『………………っ』


「何?浮かない顔してるね。まぁでも驚くよね、急に僕と結婚なんて言われたら」


『…………………』


そう…いうことね


あの男は私を利用して大きな力をもつ貴族と関係を築こうと…全てこのために育てていたと…そういうことかしら……?


『……あははっ!結婚?ふざけないで。誰がアンタみたいなヘッポコ男、こっちから願い下げよ』


「あれ?どうして?もしかして……他に好きな人でもいる?」


『…………………』


















バシッ!


「…………っ」


『いつまで触ってんのよ。じゃーね、私は仕事だから帰る』


掴まれていた腕を振り払い、その場を去ろうとする


「近いうちにまた会いに行くからね」


『勝手にすれば』


そう言うとミラは勝手に王都から出て行ったのだった








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