Time's up

□No.9 16歳の誕生日、おめでとう
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パァァァァン!!


『…………』


「お誕生日おめでとうございますっ!ミラ様!!」


『………え…?』


あまりにも突然の事で頭が追いつかないミラ


『これは…一体……』


「ミラ様の誕生日パーティーですよ!」


満面の笑みで答えるナーシー


周りを見渡すと見覚えのある人達が沢山いた


「さぁさぁ!主役も来た事だし…パーティーを始めますか!!」


ハンジが周りにそう叫ぶと周りもグラスを持ってオォ!と叫んだ


「ほら!ミラ様も固まってないで…こっちに来て下さい!」














「どうですか?驚きました?」


『まぁ…そりゃ……』


目の前にあるご馳走をとりあえず口に突っ込むミラ。今日は食べ物を口に含んだまま喋ってもナーシーは怒らなかった


『ナーシーが企画したの?』


「はい!もちろん!………あの…やっぱり余計な事をしたのでしょうか?」


『なんで?』


「その……あまり嬉しそうじゃないと言いますか…」


『まぁここまで盛大にやる必要は無かったかな。誕生日パーティーなんて……そんな大層な年になったわけでもないし』


「お嬢様」


ナーシーのお嬢様発言にミラはビクッとするがナーシーは気にせずに淡々と語り始めた


「覚えてらっしゃいますよね…?6年前の今日」


『…………』


忘れるわけない……


「6年前の今日、お嬢様はお屋敷から出て行かれました」


ミラは手に持っていたフォークを置き、遠くを見つめた


「お嬢様の時間は……6年前のあの出来事から止まってしまったのですよね?私……そんなお嬢様を良い加減楽にして差し上げたかったのです…」


『……ナーシー』


「お嬢様の時間を動かすには、まずはやっぱり…6年前の誕生日パーティーをもう一度やり直さなくてはと思いまして…それで…」


『…………』


ミラは目をゆっくり閉じ、そして鼻で軽く笑った


『ナーシーのくせに……余計なお世話よ』


「……お嬢様…」


『これは私の問題。貴方まで巻き込む訳にはいかない……でも…』












『ありがとう』


「ーーっ!!」


ナーシーは目に涙を浮かべながらミラに抱きつこうとしたその時、


「ナーシー!」


エルヴィンに呼ばれピタッと動きが止まった


「す、すみません…お嬢様」


『私は良いから…早く行きなよ』


はい!と元気良く答えたナーシーはエルヴィンの元へ行ってしまった


それと入れ替わるようにミラの前に現れたのはハンジだった


「やぁミラ!楽しんでるかい?」


『それなりに……』


「何歳になったんだっけ?」


『16』


「ワァオ!それじゃーもう立派な大人だね!つーわけで……」


ドンッ!と机に置かれたのは瓶に入ったお酒であった


「はい!ミラも飲みな飲みなー」


『はぁ……』


渡されたグラスに口を付ける。案外いけそうだと思ったミラはそのまま一気に飲み干す


「あはははっ流石!」


『………ハンジ、貴方結構もう酔っているね?』


「ええー?そうかなぁー?」


ニヤニヤ笑うハンジ


「良かったね」


『……なにが』


「楽しそうだよ、今のミラ」


『………あっそ』


ハンジにまたついでもらったお酒を飲みながら周りを見渡す


『ねぇ、なんでこんなに沢山人がいるわけ?』


「そりゃー誕生日パーティーなんだから……」


『違う。パーティーといっても私のよ?こんなに人が集まるなんてあり得ないでしょ?』


「……ふふっ」


笑い出すハンジを見たミラはなによ…と言ってギロッと睨んだ


「そのままの意味だよ」


『は?』


「君は自分が思っているほど嫌われていないって事さ」


『嫌われて…ない……?』


「みんなとっくに君の事を認めている」


『…………』


少し目を見開いたミラであったがまたすぐに元のポーカーフェースに戻った


「もう…素直じゃないなぁーもっと全身で喜びなよ」


『悪かったわね。これが私なの』


「わかってるさ」


ハンジはまた小さく笑うとミラのグラスにまたお酒を追加した








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