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□No.8 ハンジ・ゾエ
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「やぁミラ!」


『………おはよ』


調査兵団内ではいまだに良く思われていないミラであったが…そんな中、唯一話しかけてくる奴がいた


「ねぇミラ。今日の予定は?暇だったら私と一緒に出かけよう!」


『出かける…?何処に行くのよ、ハンジ』


ハンジ・ゾエ


唯一私に話しかけてくる奴


性別はよくわからないがミラは女性だと思って接している


「最近美味しいって評判のお店があるんだ。だが私一人で行くには少し寂しくてね。どう?」


『美味しいお店……行く』


「ひゃっほーい!じゃあ決まりだね!」


全身で喜びを表現するハンジに呆れながらも何処か嬉しそうなミラ


自分より年上のくせに自分より子どもっぽい


そんな所が……ナーシーと似てるなっと思っていた


『何時に集合?』


「5時に馬小屋前。遅れないでよ、ミラ!」


『それはハンジ。貴方に私が言いたいわ……』


スキップをしながら去って行くハンジ


その後ろ姿を見届けたミラはまた訓練に戻った












『………10分遅刻』


「……ゴメンゴメン…!」


やっぱりハンジじゃない…とまたしても呆れるミラにハンジは両手を合わせて謝る


『お腹ペコペコ。早く連れてって』


「はいはい、わかったよ」


お店にはあっという間につき案内された席に座る


渡されたメニューを真っ先に見るミラにハンジは大爆笑


「そんなに焦らなくても食べ物が逃げたりはしないよ!」


『お腹ペコペコって言ったでしょ?』


「遅れたお詫びに私が奢るよ」


『当たり前』








運ばれてきた料理を次々と口の中に放り込むミラにハンジはすげー…と興味津々に見つめる


「よく食べるなぁ……」


『まぁね……』


「そんなに沢山食べるなら地下街生活の時困っただろう?」


『お腹空いたら盗めばいいから別に……』


「マジで?」


私は元々こんなに食べる人間じゃなかった。だが、身体が成長するにつれてよく食べるようになったのだ


確かに成長期だから、という事だろうけど……それでも食べ過ぎだと自分でも思う程食べている気がする…


「ねぇミラ」


『ん?何?』


「ミラは次の壁外調査に参加するんだよね?」


『らしいね』


今日エルヴィンから告げられた。明日から巨人討伐の模擬訓練的なものにも参加するように、とも言われた


別に怖くない


毎日朝早くから立体機動の練習をしているし。剣だって多分扱える


………まぁ、こんなにも余裕かましているのは一度も巨人を見た事が無いからかな


『巨人ってさ、やっぱ怖い?』


「怖い……というか憎い、かな」


『…………』


「みんなそうさ。確かに恐怖もあるけど、少なくとも私は憎しみで戦っている」


『そう………』


ハンジが笑っていない


きっと沢山…大切な人を殺されたんだ……


「…と、言うのは昔の話」


『…は?』


「今はね…グフフ…巨人の生態にすっげー興味あるんだ!!」


『…は?』


さっきまでのシンミリムードは何処へやら


「前回の壁外調査で私は切り落とした巨人の頭を蹴り飛ばしたんだ!そしたら…なんと軽い軽い!!巨人の頭が軽かったんだ!!」


『頭が…軽い…ね』


まず巨人というものを見た事が無かった私にはハンジの言っている事があまりよく分からなかった


「ミラーっ!ミラは聞いてくれるよね!?エルヴィンの奴ちっとも聞いてくれなくて私ウズウズウズウズしていたんだ!ね?良いでしょー?」


『は、はぁ…?』







こうしてハンジの巨人談義の最初の被害者はミラになったのだった……







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