Time's up

□No.8 ハンジ・ゾエ
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『……よし、やるか…』


あれから昨日、ナーシーから渡されたミラの立体機動装置


腰に装備したその装置をそっと触る


訓練所近くの森


そこで一人立体機動の練習をしていた


ミラは訓練過程を経ないで兵団に入った為、対人格闘技が出来たとしても装置を使う事は出来なかった


調査兵団は壁の外に行く。基本、無駄な戦闘は避けるものだとしても万が一装置が扱えないまま巨人と出くわしたら死あるのみだ


『……これを射出するのか』


ワイヤーを射出し、アンカーを撃ち込む


『そして……』


トリガーを使ってワイヤーを巻き取り自分の肉体を引き上げる


『なるほどね…』


ガスを噴射し身体を動かす


初めてとは思えない身のこなしのミラは更にスピードを上げる





………誰かに教えてもらおうという発想は無かった


だいたい教えてくれる人間なんていない


皆、いまだにミラの事を良く思っていないからだ……


かと言ってナーシーに頼むのもなんだか悪い気がしたのだ


ーーー自分で選んだ道


だから一人で何とかしてやる


そして……巨人をぶっ殺して…


………シャークも潰してやる


ミラは近くの木の上にゆっくりと着地をした


『……何となくわかった…』


コンコン…とガスの入っていたボンベを叩く


『あまり入ってないのか……上手く使わなくてはすぐに空になってしまう……』


次はガスの消費を抑えられるように操作しよう、そう思ったミラはまた森の中へと消えて行った












「……………」


そんなミラを見ていた者が一人、いた


「あの女………」


確か立体機動装置を渡されたのは昨日のはず


なのにあの身のこなし


「まぁ、俺も誰かに教わった覚えは無いが…」


ミラが消えて行った森をもう一度見つめる


あの廊下での会話以降、お互い話をしてはいない









あれから……


リヴァイの心に張り付いたままのミラの言葉


自分が知るわけないその質問の答え


しかし…柄にも無くその答えが気になっていた。あの女…ミラは一体何者なのか…


「面白い……」


リヴァイは小さく呟くと静かにその場を後にした





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