Time's up

□No.6 私は強い、貴方は弱い
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『………朝、か』


昨日はあまり眠れなかった


なんせ…5年振りのベッドだったのだから…


どうも落ち着かない……


『まぁでも…これがある意味普通の生活よね』


今までが可笑しかっただけ


ただ、それだけ







『えっ…と…これか?』


昨日速攻作ってもらったと夜中、ナーシーが団服を届けに来た


これを着てこれからは生活をする


ごみ捨て場から拾った汚いシャツ達とは今日でお別れだ


『…チッ……めんどせ…このベルト…』


たまに…私は口調が悪くなる


汚い奴らを前にした時や興奮している時、まぁ今の状況のように面倒だと思った時も…悪くなるらしい


こんな私を見たらきっと…ナーシーはビックリしてひっくり返るのでは?


そんな事を考えながらやっとの思いで団服を着ると、自分の目の前にあった大きな全身鏡に目がいった


昨日、久々の風呂に入った時も…鏡を見た


5年振りに見た…自分の顔


『私ってこんな顔になってたんだ…』


東洋人の血が入っているらしいこの顔


『………って事は…』


私の本当の母親と父親…もしくはどちらかが東洋人って事よね…


そんな事をボーッと考えていると…


コンコン…


「お嬢様ぁーー!一瞬にご飯を食べに食堂に行きましょう!」


ナーシーの元気な声が聞こえてきた



















「痛っ!」


痛いですお嬢様ぁー


と言いながら頭をさすっているナーシーにミラはもう一発殴る


『ナーシー、貴方はもう忘れたのかしら。お嬢様と呼んじゃダメだって言ったよね!?』


「だって…お嬢様はお嬢様じゃないで…痛っ!」


『はぁ……全く…』


そんな事をしている内に、何時の間にか食堂に着いていた


「お嬢様は何を食べますか?」


『何でも良い……ナーシーと同じの5人前』


「え、5人前!?お…ミラ様そんなに食べるのですか!?」


『だってお腹空きすぎて死にそうだから……』


「は、はぁ……そうですか…」


朝ご飯を運び、席に座ると…周りの兵士が騒ぎ出した


理由はもちろん…


「おい……誰だ、あの黒髪の…」


「……結構美人じゃね?あの子」


「つかなんでナーシーさんと…?」


「ナーシーさんがこき使われているように見えるんだが…」


まぁ、当然だ


ミラは昨日来たばかりでしかも、まだ他の兵士に紹介されていない…


『ナーシー人気者ね』


「いえ…これはどっちかと言うとミラ様の方かと…」


すると一人の兵士が立ち上がり、ナーシーに声をかけた


「なぁナーシー、今日は暇だよなぁ?一緒に行きたい所があるんだけど?」


「……すみません、暇じゃないので…」


ナーシーは苦笑いをしながらその兵士に静かに言った


『…………』


「はぁ?今日くらい良いだろ?どれだけ待たせるんだよ!」


「痛っ!ちょっと離して…!」


その兵士はナーシーの腕をガッチリと握り、自分の方へ引き寄せようとする


「離して!」とナーシーが言ったその時、


………兵士の腕を逆に掴む者がいた


「…んだ?お前」


『耳悪いんじゃねーの?お前』


「は、はぁ!?」


「お、おじょ!?」


『離せってナーシーが言ってるのが聞こえねぇのか。わかったらさっさとその汚い手を離せ、このクソが』


周りは一気に静まりかえる


ナーシーでさえ、ミラの口調の悪さに口をパクパクさせていた


「お前…何者だ!」


『ねぇ、離せって』


「見ない顔だが…あまり調子乗ってると痛い目を見る事になるぞ!」


『離せよ』


「俺の気が変わらない内に……


プッ………!


「……な………………」


兵士の顔にはミラの口から飛ばされた肉の骨が


『お前こそ私をこれ以上怒らせるなよ』


「おじょっ!?骨が……!?」


「てめ…このクソガキが調子乗りやがって!!」


兵士はもう片方の腕を振り上げた……その時、


「待て」


食堂内に響く……エルヴィンの声。後ろにはリヴァイもいた


途端に周りはエルヴィンに向かって敬礼をする


「どういう状況か説明をしてもらおうか」


「えっと…それは…」


『あぁエルヴィン。私はただナーシーが嫌がっていたからこいつに離せって言っただけだ。あと肉の骨をあげた』


「肉の……骨?」


「ミラ様!エルヴィン分・隊・長ですってばぁ……」


肉の骨に疑問を持ちながらもエルヴィンは周りを静かに見渡す。どうやらミラの言っている事が本当のようだとわかると


「…よし。ではナーシーをかけて二人には体術で競ってもらおう」


「えっ?!分隊長!?私をかけて…え!?」


『よし、のった』


「ミラ様ぁ!?」


「ミラの紹介もしなくてはならないし…ついでに実力も皆に見せる事ができて良いと思うが?」


エルヴィンはナーシーにそっと言うが…ナーシーはミラが心配でならなかった


「ミラ様が殴られたり蹴られたりするのを見ているなんて……」


複雑な気持ちのままナーシーは外へ向かうのだった






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