Time's up

□No.4 5年振りの再会と笑顔
1ページ/2ページ



『今………』


今、この男は…何と言った…?


「………君だったのか、ナーシーが捜していた人とは…」


『ナーシー…が……』


調査兵団にいる?


ミラはペタッと地面に崩れ落ちると……心が急に軽くなった気がした


ナーシーが生きていた


何故調査兵団にいるのかはわからないが


『生きてて……良かった…』


そんなミラの姿を見たエルヴィンはもう一度、ミラに尋ねた


「調査兵団に入らないか?」



















『………勘違いしない事ね』


「……何がだ?」


兵団の本部へ向かう馬車の中、エルヴィンとミラは向かい合わせに座って居た


『私、まだ調査兵団に入るなんて言ってないから』


「あぁ、わかっている」


『……そう、なら良いわ』


窓の外を見つめる


さっきから自分の知らない景色ばかりが広がっている事に


本当に…自分は何も知らないんだなぁ…と思った


10歳まではほとんど屋敷の中で過ごし、


その後は地下街と市場の出店の間を行き来するだけ


本当に……何も知らない、わからない…


自分が何者かでさえ……


わからない












「この部屋で待っていてくれ」


そう言うとエルヴィンは部屋を出て行く。きっと…ナーシーを呼びに行ってくれたのだろう


ミラはゆっくりと部屋の中を見渡した


部屋の中にある家具達の中で目に止まった物


『……ふかふか…』


そっと触れるベッドの感触。ベッドなんてきっと5年振りだ…


昨日までは何も無い壁に寄っかかって寝ていた









何もかも、5年振り








バンッ………!!












「……………ミラ…お嬢……様……」





『ーーーっ!!』


突然、勢い良く開けられていたドアの向こうには……


『ナー……シー…!!』


ずっと会いたかった人が…


「お嬢様……お嬢様!!」


目の前にいた









次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ