Time's up

□No.2 三白眼の男
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『……寒い』


やっとの思いで街にやってきた


………誰かに頼ろうか


そう思った時、頭の中に先程の会話が蘇った








「…東洋系の血が入っているんでしたっけ?よく見つけられましたよねー。ありゃ将来美人有望ですわ。惜しいなぁ……オークションにかければ高く売れるだろうに」









『ダメだわ…』


先程の会話が本当なら、自分はオークションに売られてしまう可能性が高い…


そして、もう一つ気になっていた言葉


“アッカーマン”


なんの事だかさっぱりわからない。ただ、ミラはなんとなく…この言葉は自分にとって重要な意味を持っているのでは、と思っていた


とにかく一人で生きて一人でナーシーを待つしかない


そんな都合の良い場所はあるのか。そんな時、ふと頭によぎったのは


『地下…街…』


普段は絶対に行かないその場所


街中のゴロツキが集まるその場所


ただ、今のミラにはここで身をひそめるしかないと思った


街にいて、もし…父親に見つかってしまったら…全てが水の泡だ


『行こう』


ミラはゆっくりと地下街へと足をのばした















『…………』


失敗した


自分の想像を遥かに越えるそこに今は恐怖と帰りたい気持ちでいっぱいになった


ミラを舐め回すように見てくる男達


今からでも間に合う。戻ろう


そう思ったミラはクルリともと来た道を戻ろうとしたその時、


『ーーーキャッ!!』


何者かに腕を掴まれ、壁に軽く叩きつけられた


『ーーー痛っ……』


「ギャハハハハ!おいおい…ガキが一人でうろついていい場所じゃねーぞ?」


「迷子になったんじゃね?つかよ…あまり見ない顔立ちだな…このガキ、売ったら金になりそうじゃね?」


『ーーーっ!?』


売る


売られてしまう


嫌だ……


怖い……


『………怖いよ…』


怖いよ……ナーシー……


「さてと、そうと決まればさっさと運ぶぞ」


「だな。つか、こないだの憲兵とか高く買ってくれそうじゃん。そいつに売るってのもアリだと思うんだよねー」


グイッと引っ張られ、されるがままのミラ


何も出来ない。振り切る力もない。逃げる力も、意志も……


『ゴメン、ナーシー………』


約束、守れそうにない……私から言い出しておいて……本当にごめんなさい…


そう心の中で呟き、涙を流した………次の瞬間、










「………随分楽しそうだが…何か良い事でもあったのか、豚野郎」










ミラを掴んでいた男が………宙に舞った








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