ハチミツどろっぷす

□4.不良少女と友達
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「凛ちゃーん♪」


『……誰。ていうか気安く呼ばないで』


「昨日話したじゃんかー俺、高尾和成」


『私に何の用?』


「同じDropSを応援する者同士仲良くしたいなーと思いまして」


『残念ながら私は仲良くする気ないんだーバイバイ』


凛はお昼ゴハンを片手に教室から出て行こうとした


『…なんか厄介な奴に目つけられちゃったな…』


ボソッと呟いた瞬間、ガシッと腕を掴まれる感触


『!?!?』


「如月凛!みぃーつけたっ!!」


『なっ……!?』


凛の腕を掴んでいたのは、蜂蜜色の髪の毛をした長身の男


『あ、昨日の…』


「お前どーせ昼一緒に食う友達とかいねぇんだろ?てわけだから、こっち来い」


『は、はぁ!?ちょ!?』


「宮地さぁぁぁん!俺もいっすかー!?あ、真ちゃんも!」


「俺は関係ないのだよ!!」


「勝手にしろ 」


『ちょ!?』


ズルズル宮地によって引きづられていく凛


『……うぅ…』


……困った


これ以上関わってバレたらシャレにならない…


咲ぅぅぅぅ!蘭んんんん!!お願い助けてよぉぉぉぉぉ!!!


もちろん凛の声は届かなかった

















『…………』


「んじゃ、とりあえずお前の事知りたいから、軽く自己紹介な」


「宮地さん、それは新しい口説き文句ですか?」


「黙れ高尾。埋めるぞ」


『…………』


屋上


凛の隣には宮地と高尾。その2人以外にも大坪、木村、そして緑間もこの場にいた


『……如月凛』


「それだけ?もっと俺凛ちゃんの事知りたいな♪」


『は、はぁ?誰があんたなんかに…』


「あんた、じゃなくて俺高尾和成だってばーーー」


『………高尾』


「そうそう♪」


ニカッと笑う高尾。それを見た宮地は少し面白くなさそうに話しに入ってきた


「俺は宮地清志。俺はリンちゃん推しだからな!」


『ーっ』


「あっ!俺はサクちゃん推しだから!凛ちゃんもサクちゃんなんだろ??」


『……えっと…』


……そういえば私、咲と蘭推しとか言ったんだっけ?


だって自分の事推してますなんてなんかイタイじゃん…


『まぁ…うん。そんな感じ』


「はぁぁぁ…お前もしかして自分と同じ名前だから嫌とか?んなもん気にするもんじゃねぇだろ?」


『いや、違うし』


「…ま、いい。お前にはちゃーんとリンちゃんの良さを教えてやるよ」


宮地は凛の頭をポンポンっと軽く叩く


『………』


そんな宮地に凛は少しドキッとしていた


……やっぱり自分の事を応援してくれている人がいるのは…嬉しい事だ


でもそんな感情を表に出してはいけない


『…ふぅん、期待しないでおくよ』


何もかも隠さなくてはいけない


やっぱり…辛い


自分の正体を言えない事が


「で、早速だが今度DropSのLIVEがある!」


「待ってましたァァァァァ!」


イェーイ!と声を上げながら拍手をする高尾


緑間がすかさず「うるさいのだよ!」と高尾の頭を叩いた


「LIVEがあるのは凛も知ってんだろ?」


『え、あ…まぁ』


「お前は俺と行くからな」


『うん……………はぁ!?』


目を見開く凛。高尾は「え、今回俺ハブ?」と少ししょげていた


「チケットは2枚まで取れるから。高尾は別で行け。俺はコイツと行く」


『ちょ……!?』


「宮地さぁんいきなり大胆じゃないっすかー?そんなに凛ちゃんとデートがしt…イッデェェェ!」


「勝手な事言ってるとぶん殴るぞ」


「もう殴ってます…」


宮地は、はぁ……とため息をつくと違ぇよと言い


「コイツにリンちゃんの良さを教えるために決まってんだろ?」


『ストップ!』


「ん?なんだ?」


『悪い。私、行けない』


「はぁ!?」


宮地は驚いたように声を上げた


『その日…どうしても外せない用があるんだよ。だから…無理。LIVEは高尾と先輩で楽しんで来て』


……というか、私そのLIVE出るから一緒に見れるわけない


「マジかよ…タイミング悪ぃな…」


『…チケット取りは手伝うから。それでいい?』


「じゃー宮地さん、今回は俺と行きましょうよ!んで凛ちゃんにも手伝ってもらいましょ!ね!」


「まぁ…仕方ねぇな」


『ははは…』


やっぱりエライ連中に捕まってしまった


これから本当にどうしよう…と本気で悩む凛であった


















『高尾はサクちゃんが好きなんだ』


「もち!あの元気いっぱい頑張ってる感じ、すげぇ好き!」


『……なるほど』


屋上から教室に戻る廊下


高尾と凛が話していると後ろから高尾を呼び止める声が


「高尾!」


「ん……あ!大坪さん!どうしたんすか?」


「これ、DVD。ありがとな」


「おお!で……大坪さん、どーでした?」


ニヤッと笑う高尾。凛は横目でそのDVDを見た


『あ…これ』


「やっぱり俺はランちゃんだな。あのミステリアスな雰囲気、堪らんな」


『あぁ……』


この男はどこまでDropSを普及させるつもりだ…いや、コッチとしては嬉しいんだけどね


『…確かに蘭はミステリアスな雰囲気持ってるけど、意外と変態気質だったりするんだよなぁ…』


「え?なんか凛ちゃん言った?」


『あ……いや、何でもない(ヤバイ、声出してた!)』


じゃ、私こっちだから…


そう言って凛が教室の中へ入って行こうとしたその時


「如月」


『…?』


「俺たちはいつも放課後体育館でバスケをやっている。お前さえ良ければいつでも遊びに来ていいぞ」


『え…』


大坪の突然の言葉に驚く凛。高尾も嬉しそうに


「さすが大坪さん!凛ちゃん!俺も宮地さんもいるから!是非見に来てくれよな♪」


『…時間が…あったら』


小さな声で言うと凛はそのまま教室に戻って行った

















『あーあ……調子狂うなぁ…』


不良少女の仮面が剥がれそうで怖い






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