桃色日和
□1.人気急上昇の読者モデル
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「ねぇ、そこの君。芸能界って興味ある?」
『はい?』
全てはここから始まった
あの時声かけられていなかったら。今頃私は普通の人間として普通に過ごしていただろう
おそらく、兄とももう会う事なかっただろうに…
───桃色日和────
「栞ちゃんいいねぇ〜!今日も絶好調じゃないか?何かいい事でもあった?」
『いつも通りですよ〜!じゃー今日は予定よりも早めに終わらせてください〜もうクタクタです〜』
「あはは!相変わらずだな〜!OK OK、栞ちゃんのために早めに終わらせてあげるよ。次の撮影チームも早めにインするみたいだからちょうどいいかな!」
『やった♡』
満面の笑みでまたポーズを決めていく私、折笠栞は今人気急上昇中の読者モデルとしてバリバリ仕事をこなしています
といっても…モデルになったのは数ヶ月前
自分でも驚きのスピードで大変戸惑っております…
「はい!おつかれー!!」
『お疲れ様です!ありがとうございました!』
近くの椅子に腰掛け、一息つく
するとマネージャーである笹川美奈子…通称ミナが私の元へドリンクを持って駆け寄ってきた
ミナが私のマネージャーとしてついたのはつい最近。私がかなりのスピードで売れ始めたので社長がちゃんとしたマネージャーをつけてくれたのだ
「お疲れ様!予定よりもだいぶ早く終わったわね…!」
『おかげさまで!ふふふ…ねぇ、この後ご飯行かない?もう今日は仕事ないでしょ?』
「あ〜〜ごめんなさい。これから事務所に一旦戻らなきゃならないのよ……」
『あら…残念。頑張ってね!』
「ええ!あ、栞ちゃん1人で帰れる?なんなら車用意してもらうけど…」
『大丈夫大丈夫。家ここからそんなに遠くないし』
「そう?じゃーあとは宜しくね!明日は9時に迎えにいくから。一緒に新しい住まい探しに行きましょう!」
『りょうか〜い。お疲れ様〜!』
ヒラヒラっと手を振ると、ミナも小さく手を振り、そしてスタジオを後にした
ミナが私のマネージャーでよかった
優しいし、気遣ってくれるし…頼りになる
『社長に感謝だな〜〜南無南無…』
「あれ?栞ちゃん?もう終わりでしょ?」
『あ、お疲れ様です!今日の仕事は終わりましたよ〜…疲れちゃってちょっとここでゆっくり休憩しているだけです』
「おおそっか!そりゃお疲れさん!そうだ……もうそろそろあの今をときめく人気アイドルに会えるからついでだし挨拶しといたら?」
スタッフさんからその言葉が出てきた瞬間…ピクッと眉が動く私
今をときめく…人気アイドル…
『あの…そのアイドルって………』
「TRIGGERだよ」
『…ホッ……なんだ、トリ、』
「あと、もう1組が……」
「TRIGGERさんとRe:valeさんスタジオ入りまーーっす!!!」
『り、りゔぁーーれっ!!!?』
恐れていたことが…早速起きようとしていた
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