橙色の彼女

□第6話 『ちょっとバカ言わないでよ。行くに決まってるじゃない』
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『…はい?』

「あの…本気だから。」

『えぇーと…確かに願いを聞くとは言ったけど…いきなりすぎない?』

「そうか…」

『火神君の事、もっと知りたいし…お友達からの…で良い?』

「あ、あぁ。俺こそいきなり悪かった。」

『ううん!嬉しかったから。じゃあ火神君の事これから大ちゃんって読んで良い?』

「おう!構わないぜ。」

だいちゃんじゃないよ。
たいちゃんだからね?

『んじゃ!まずは部活に行こっか。先輩方に謝って来い!』

「…マジ?」

『いつまでも逃げてちゃダメだよ?』

「…わかったよ。」











『お疲れ様です!』

「おう、サンキューな栞。」

「栞ちゃん!俺は毎日が幸せだよ…君にお疲れ様なんて言われちゃうんだから!そうだ、この後イテェッ!」

「そんな暇あるなら練習しろ!練習!」

笠松が森山をはたいた。

『いよいよですね…インターハイ。』

「あぁ。対戦トーナメント表も発表会された。気を引き締めて行くぞ!」

「「「はい!」」」

「…」

「おい黄瀬。」

「…」

黄瀬はトーナメント表をジッと見つめたまま動かなかった。

「黄瀬!!」

「!は、はいっす!」

「何度も呼んでいたのに無視決め込むとは良い度胸じゃねーの、うん?」

「ひぃぃぃ!すみませんっす!」

「ったく…」

そのまま先輩達が着替えに戻る中、体育館には栞と黄瀬が残っていた。

「栞…これ…」

黄瀬は対戦トーナメント表をもう一度見ていた。

『うん。そうだね。』

ずっと海常が勝ちすすんで行くとそのうちあの学校と対戦する事になっていた。

あの学校…

「まさかの青峰っちと…」

これは運命?

宿命?

「栞、この日休むっすか?」

『ちょっとバカ言わないでよ。行くに決まってるじゃない。』

ニコッと栞は笑うが、どこか…ぎこちなかった。

『絶対に負けないよ。負けられない…そうでしょ、涼ちゃん。』

「当たり前っすよ…!!」




















帰り道。

意外な人に会った。

『真ちゃーん!』

「なっ…何故ここにいるのだよ!」

『そればっかりだね…』

「あっれーあの子、海常のマネージャーさんだよね?うっはー☆ここで会えちゃうなんて運命?」

『初めまして…確か…高尾さんでしたよね?』

「お、覚えててくれてるの!?」

「勘違いするな、高尾。こいつは偵察してるから知っているだけなのだよ。」

「あ、マジ?」

『さぁ…どうでしょう?』

ニコッと笑う栞。

「そういえばもうすぐだろう。インターハイ。まぁせいぜい一回戦で消えないように頑張るのだよ。」

「もー真ちゃんは素直じゃないんだから!俺も応援してっからさ!頑張れよ!」

『ありがとうございます。』

「あと、その堅いのやめてよー呼び捨てタメで良いぜ?」

『じゃ…和成だから…和ちゃんで良い?』

「おぉ!良いぜ!」

「ほら高尾。行くのだよ!」

「待てって、真ちゃん!んじゃ栞!またな!」

『うん!またねー!!』




インターハイまであと一週間。
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