橙色の彼女

□第2話 『みんなのバスケをプレーしている背中が私好きなの』
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飛行機から降りるとゲート出口に幼なじみの姿。


「栞ー!」


子供のように手を大きく挙げている幼なじみ。


全く…あいかわらずだなぁ…


「栞!久しぶりっす!元気だったっすか?」


『えぇ。おかげさまで。涼ちゃんも元気そうで良かったよ。』


「いきなり日本に帰るだなんて言うから大変だったんすよ?高校の編入手続きとか色々…」


『ありがとう、感謝してるよ。』


「まぁ栞には敵わないっすから。」


私の幼なじみ、涼ちゃんこと黄瀬涼太とは赤ちゃんの時からの付き合いだ。
今私の両親も海外にいる為手続き等は涼ちゃんにお願いしていた。


「あ、そう言えば…栞がアメリカに行くって聞いてからヘアメイクさんとかスタッフさんがめちゃくちゃ悲しんでたっすよー!まだ帰って来た事言ってないっすからきっとビックリするに違いないっすね!」


『久しぶりの仕事について行けるかなー』


ちなみに仕事というのはモデルである。
涼ちゃんと私は自分で言うのもアレだが…今を走るトップモデルなのだ。


『じゃあ、今日久しぶりに仕事場に…みんなをビックリさせに行こうかなー』


「面白そうっすね!俺も行こーと。」


あ、そうだと黄瀬は栞に尋ねた。


「で、アメリカはどうだったんすか?」


『…とても刺激的だったよ。でも途中で気がついたの。』


そう…わかったの。


『バスケをプレーするのは好きだよ。でもみんなとじゃなきゃ楽しくない。みんなのバスケをプレーしている背中が私好きなの。』


「でも結構良い話だったんじゃ…」


『…逃げただけだよ。アメリカに。それだけの理由でOKを出してアメリカに行ったんだから。そりゃつまんなくなるよね。』


そう、逃げた。


私は逃げただけなの。


彼の顔を見たくなかった。


会いたくなかった。


ただそれだけ。




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