ごちゃ混ぜ短編集
□誰もいない部室で
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『………ちょっと、離してよ』
「…………」
『ねぇってば!!』
「絶対に離さねぇっす」
部室の中
私は新しいテーピングが部室にあったのを思い出し、取りに来ていた…所を……
『…………何でこんな事に…』
先に部室にいた涼太に急に腕を掴まれ壁に叩きつけられたのだ
『ねぇ…笠松先輩を待たせてるんだけど。私、涼太に何か悪い事した?』
心当たり無いけど
「……………見た」
『……は?』
「さっき、男と一緒だったっすよね?アレ、なんすか」
涼太は更に私の腕を力強くにぎる
『あ…アレか…』
別にやましい事は無い。確かにさっき同じクラスの男子と廊下で喋ってた
『あの男子は私と同じ委員会で……今日昼休みに集まりあったのにサボったから私に謝ってただけで…』
「じゃーあのボディータッチはなんすか……ハグされてたっすよね?」
『アレは私が許してあげたら勝手にハグしてきて…その後引っ叩いたわよ』
………完全に誤解されてる
涼太の顔をゆっくりと見る
怒ってる。本気で、怒ってる……モデルの顔に影かかっちゃってるもん…
でも………
『…………ふふっ…』
「なっ…!?何が可笑しいんすか!!」
『だって……それって妬いてるって事よね?それがさ…嬉しくって』
私だって毎日毎日不安の日々だ
涼太は顔はイケメンだスタイルは良いわで毎日女の子に囲まれている。そういう事だったら正直、私がここまで涼太に言われる筋合いは無い気がするけど……
『私の事、ちゃんと見ててくれたんだ』
「あ、当たり前じゃないっすか!!」
腕が解放されたかと思ったら、次は涼太の胸の中に引っ張られた。私を抱きしめる涼太の力が更に強くなる
「こんなに好きなのに…まだわかってくれないんすか?クラスが違うだけでこんなに不安になるなんて…思っても無かったっす…」
『私も……だよ……』
ゆっくりと私も涼太の背中に手を回す。それが意外だったのか、涼太は少し驚いた表情をした
『涼太すっごいモテるじゃない。毎日毎日女の子に囲まれちゃってさ。てっきり私の事なんて見てないって思ってた』
クラスが違う
それだけで会える時間は減る
毎日部活の時間まで……待っているのが辛い……
正直、ここまで涼太が好きになっちゃうなんて思って無かったけどね
『美男美女も大変って事よね』
ふふっ…と小さく笑う私を見て、涼太もつられて
「その通りっすね!」
と笑い出す
「ゴメン…ナナ子。痛かったっすよね?…………俺、最低っすね……」
ゆっくりと涼太は私を引き離す
少しうなだれている涼太を見ると私は一つため息をして首を横に振った
『そんな事無いよ。涼太の嫉妬している姿が見れちゃったんだからね、それだけで十分だしっ』
「なっ…なんすかぁ…それ…」
『ふふふ……』
私が面白おかしく笑っているのが気に食わなく思ったのか
涼太はムッとすると私を再び壁に叩きつけ、強引に唇を重ねた
ーーー誰もいない部室で
『りょ、涼太…いきなり何するのよ//////』
「ちょっとうるさかったから黙ってもらおーと思っただけっすよーだ」
『そんな乱暴にしなくたって……』
「じゃー乱暴にしないから、もう一回キスしてもいい?」
『な……何でそうなるのよ!!部活行かなきゃ笠松先輩にシバかれちゃうよ…』
「えぇーーだってナナ子の事死にそうなくらい好きなんすもん!今日だけっす…ね?」
『ーーったく/////』
「愛してるっすよ、ナナ子」
『……バカ…知ってるっての』
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