カラフルDay'S

□26.『いってらっしゃいって…なんで言わせてくれないの…?』
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「よし!着いた!!」


『お兄ちゃん…!』


私達はバイクを置き、急いで空港内へ入って行った。宮地先輩もどこの搭乗口かわからないのか周りをキョロキョロと見渡していると


「茜!宮地さん!」


「……お!いたいた!」


こちらに手を振りながら走って来たのは氷室先輩


『氷室先輩まで…ここに!?』


「まぁね。宮地さん、急ぎましょう。今笠松さん達に頼んで時間を稼いでもらっていますが……」


「もう5分もたねぇな」


『え…!?笠松さんっ!?』


すっかり混乱している私に笠松さんは説明は後だ、と言い


「お前の兄貴はこっちだ。来い!」


そう叫んで笠松さんと氷室先輩は走り出した。私と宮地先輩も顔を見合わせ2人の後に続いて走った

















「さてと…んじゃーな、お前ら」


「先ぱ……」


赤司が修造の腕を掴もうとしたその時、











『お兄ちゃん!!!!』









「ーーーーなっ!?」


危機一髪


なんとか間に合った私達


「茜!?おま……なんで!?」


『お兄ちゃん!!とりあえず………うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


ドガッ!!


「……ウッ!?」


お兄ちゃんのお腹に一発お見舞いしてやりました。だって…ねぇ?


『ふざけんなよ!馬鹿修造!!!!』


「茜……っ」


「あ、修造。まだだぞ。歯ぁ食いしばりやがれ」


「…へ?きよs…」


ガァァァァァン!!


「グッホッ…!!」


宮地先輩の渾身の飛び蹴りが炸裂!先輩マジでお兄ちゃんを殺りに来てます…


「「「「「(ヤバイ……あの蹴りはヤバイやつだよ…!?)」」」」」


「今すぐ本気で殺してやりたいくらいムカつくが…まぁ茜に免じてこれで許してやる」


『……………』


えっと…もう喋って大丈夫かな、私


『お兄ちゃん』


「……………」


『なんで私に黙って出て行こうとしてんの』


「……………」


お兄ちゃんは下を向いたまま…何も言わなかった


『いってらっしゃいって…なんで言わせてくれないの…?』


「ーーーっ」


『私、待ってるよ。お兄ちゃんが帰ってくるの待ってるから…だから…』


「茜っ!!」


グイッと引き寄せられ、お兄ちゃんに思いっきり抱き締められた


「ゴメン……本当に、ゴメンな…」


『………お兄ちゃん…あのね…』


「わかってる」


『ーーっ』


「昨日の事、だろ?」


私は静かに頷いた


「俺は兄としてとんでも無い事しちまったな……本当に悪かった」


『良いよ。お酒沢山飲んでたみたいだし…気にしてないよ。次からは飲む量気をつけないとね!』


「……………あぁ、そうだな」


二カッとお兄ちゃんは笑うと私の後ろで見守っていた皆に軽く礼をした


「ありがとな、感謝してる」


「おう、茜の事は任せとけ」


「あぁ、頼んだぜ。清志………んで………」


今度はカラフルな方達の方に向いたお兄ちゃんは満面の笑みで


「俺の留守中に茜に手ぇ出した奴は即太平洋のど真ん中に捨ててやるからな」


「「「「「は……はい……」」」」」


「声が小せぇ!!」


「「「「「はい!!!!(ヒェェェーーーッ!!泣)」」」」」


フンッと顔を反らしたお兄ちゃんは荷物を持ち直し、もう一度私を見つめた


「行って来る」


『いってらっしゃい!』















こうしてお兄ちゃんは無事にオーストラリアへ旅立って行きました


次に帰ってくるのはいつになるか、わからないけど…でも、私はずっとお兄ちゃんの事待っているからね


「さて……帰りますか」


宮地先輩がグッと伸びをしながら言った


「では車を呼ぼうか。茜も乗って行きなよ」


征十郎が携帯を取り出すが、


「いや、茜は俺が送って行く」


宮地先輩が私の前に立ちふさがった


「こいつは俺が責任持って送り届ける………お前ら、修造がいなくなったからって気ぃ抜いてんじゃねぇぞ?俺は修造に茜の事を任されてんだ。この意味……わかるよな?」


満面のブラックスマイルにカラフルな奴らはビクッとなった


「わ、わかってるっすよ…(うわぁぁぁぁ先輩がいなくなってチャンスだと思ったのにぃぃぃー!)」


「じゃ、じゃー茜またな…(本当は茜と帰りたいが…宮地さんが怖いのだよ……)」


「んじゃ、茜行くぞー」


『は、はい!』


駐車場へ向かう2人の後ろ姿を見ながら……これは油断できないぞとため息を一つするカラフルな彼らでした



















「……………」


“良いよ。お酒沢山飲んでたみたいだし…気にしてないよ。次からは飲む量気をつけないとね!”


「お酒、ね……」


飛行機の中、修造は窓に顔を傾けながら外の景色をジッと眺めていた


「ダメだなー俺」


そうだよ、俺はあいつの兄貴なんだぞ


「しっかりしろ、修造」


ずっと一緒だった妹


いつも隣で笑っていた妹





でも……







いつかは俺の元から離れて…別の大事な男の横で笑っているんだろうな…































「……………なぁーんてな」







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